超分子構造体形成を目指したオリゴTTFスーパーファン類の合成

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13640569
• Research Institution: Ibaraki University
• Principal Investigator: 川田 勇三 茨城大学, 理学部, 教授 (10152969)
• Keywords: TTF / 大環状化合物 / スーパーファン / X線結晶構造解析 / 電解結晶化 / ツインドナー

Research Abstract

TTFを大環状に3、4量体化し、その形ならではの特色ある配列をとらせ、それに基づいて多様な物性や機能を発現させることを目的として研究を行った。
目的化合物には到達していないものの、様々な試みの中から、今後の合成的展開の方向性が明らかになりつつある。その要点は、如何にして中間体の溶解度の低下を防ぎ、ある程度の量を扱えるように工夫するかである。また、所期の目的からはやや外れるものの、興味ある関連化合物が得られ、その構造・物性研究も進められている。
トリメチレンジチオ鎖で連結したタイプの化合物では、TTF3個で両端のTTFには保護したチオラートを有するもの、TTF2個と1、3_ジチオール_2_オン2個を有するものが得られている。それぞれについて高希釈条件下で、求核置換、あるいは、亜リン酸エステルによる環化の条件を検討している。閉環の容易さ、また、分子内相互作用の大きさ等を考慮して、エチレンジチオ鎖、メチレンジチオ鎖で連結された同様の前駆体の合成も進めている。
この過程で、これまで知られていなかったエチレンジチオ鎖で連結された平行型2量体が得られた。これまでに合成された量も歪んだ無置換4架橋TTFスーパーファンである。そのX線結晶構造解析、電解結晶化、電解結晶化体(過塩素酸塩)のX線結晶構造解析などが終了、進行している。中性体は通常のET誘導体と比べると大きく歪んでいるが、電解結晶化体では平面性を回復、分子内/分子間で十分相互作用が可能な形/配列となっており、その物性に興味がもたれる。