2001 Fiscal Year Annual Research Report
導電性ポリマー膜/酸化チタン接合を用いた空中窒素固定
Project/Area Number |
13640590
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
星野 勝義 千葉大学, 工学部, 助教授 (50192737)
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Keywords | 窒素固定 / 酸化チタン / 導電性ポリマー / 有機無機複合材料 / 半導体 / 電気化学 / 固体光触媒反応 / 物質変換 |
Research Abstract |
本研究では、2000年に当研究室で見出された導電性ポリマー/酸化チタン接合を用いた空中窒素固定のさらなる展開を目指した。これまでは導電性ポリマーとしてポリ(3-メチルチオフェン)(P3MeT)、酸化チタンとして有機溶媒中で電解作製した陽極酸化酸化チタン(TiO_X)を専ら用いてきた。今回は導電性ポリマーとしてP3MeTと同じ16族ヘテロ原子を含むポリフランを用い、本窒素固定法の構成材料に対する汎用性について検討した。 有機電解液(ジクロロメタン電解質溶液)を用いて酸化チタン/ポリフラン接合を形成した。酸化チタンの陽極酸化電位は15Vであり、このとき115V以上の電位印加でポリフランの酸化重合が可能であることがわかった。また得られた接合は2つの材料が分離した接合ではなく、酸化チタンとポリフランが混合された複合膜となることがFT-IRおよびXPSの結果から判明した。このようにして得られた酸化チタン-ポリフラン複合材料に太陽光灯からの光照射(1200 lx)を行ったところ、P3MeT/TiO_X接合と同様に空中の窒素が過塩素酸アンモニウムへと固定されることがわかった。 次に、酸化重合電位を変え、窒素固定量(窒素固定速度)の重合電位依存性について検討を行った。その結果、窒素固定収量は、重合電位160〜185Vで高い値を示し、6.7〜8.9μmol/h m^2(単位面積、単位時間当たりに生成した過塩素酸アンモニウムのモル数)となった。これはP3MeT/TiO_X接合の固定化速度8.9μmol/h m^2に匹敵する値であり、導電性ポリマーとしてポリフランを用いても窒素固定が可能であることが判明した。なお、本窒素固定の反応機構としては導電性ポリマー/酸化チタン接合部位でのアンモニア生成と酸化チタンバルクでのNH_3からNH_4ClO_4への変換を考えている。重合電位が低い場合にはポリフランが十分成長せず、従って後半の変換反応が十分進行しないと思われるし、また重合電位が高すぎる場合には前半の窒素固定反応を担う酸化チタン上の酸素欠陥サイトが減少するためと考えている。
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