2002 Fiscal Year Annual Research Report
スクアレン由来ポリエーテル類の細胞毒性発現機構解明への化学合成的アプローチ
Project/Area Number |
13640594
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森本 善樹 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90244631)
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Keywords | エポキシトリ-THFジオール / Spathelia glabrescens / 完全立体構造 / グラブレスコール / 絶対配置 / 相対配置 / 全合成 / 合成化学的手法 |
Research Abstract |
本年度においては、我々が注目しているポリエーテルのうちエポキシトリ-THFジオール(1)に焦点を当てた。1はJacobsらによりみかん科植物Spathelia glabrescensから単離された化合物である。生理活性については、単離された量が微量なためか生理活性についての報告はないが、類縁体との構造的類似性から細胞毒性を有することが期待される。構造については、主にNMRにより平面構造が決定され、立体構造についても一部は解明されたものの、分光学的手法による技術限界のために完全帰属には到っておらず、他の方法による解決が望まれていた。今回本研究において1の全合成を達成し、未解明であった1の完全立体構造を決定したので報告する。 1の相対配置は部分的にしか解明されていなかった。同じ植物から単離された類縁体のグラブレスコール(2)との構造上の類似性及び生合成経路から考慮して、1の絶対配置は2の同一部分のそれと同じであり、3つの連続するテトラヒドロフラン(THF)環の連結部分の相対配置も、2と同じerythro配置であると予測した。従って、残る1の可能な立体異性体は、エポキシドの立体化学による2種類が考えられるので、両者を合成し天然品1と比較することによって最終的に決定することとした。2の全合成における中間体に対してキラルケトンを触媒として用いるShiの不斉エポキシ化を行い、異性体分離のための酸処理を施して目的とする(22S)-体を合成した。同様に、先ほど、のキラルケトンのエナンチオマーを用いてもう一方の立体異性体である(22R)-体の合成も行った。合成した両者の各種スペクトルを天然物1のそれと比較したところ、旋光度を含めて(22S)-体が1と一致することが判明した。このように、分光学的手法だけでは解明されていなかった立体構造決定についての問題を、合成化学的手法を用いて解決することに成功した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yoshiki Morimoto: "Stereospecific and Biomimetic Synthesis of C_S and C_2 Symmetric 2,5-Disubstituted Tetrahydrofuran Rings as Central Building Blocks of Biogenetically Intriguing Oxasqualenoids"Tetrahedron : Asymmetry. 13・24. 2641-2647 (2002)
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[Publications] Yoshiki Morimoto: "Total Synthesis of Highly Symmetric Squalene-Derived Cytotoxic Polyethers"J. Synth. Org. Chem., Jpn.. 60・11. 1112-1122 (2002)
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[Publications] Yoshiki Morimoto: "Complete Assignment of the Stereostructure of a New Squalene-Derived Epoxy Tri-THF Diol from Spathelia glabrescens by Total Synthesis"Tetrahedron Lett.. 43・33. 5849-5852 (2002)
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[Publications] Yoshiki Morimoto: "Total Synthesis and Determination of the Stereochemistry of 2-Amino-3-cyclopropylbutanoic Acid, a Novel Plant Growth Regulator Isolated from the Mushroom Amanita castanopsidis Hongo"Chem. Commun.. 1. 42-43 (2002)
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[Publications] Yoshiki Morimoto: "Asymmetric Total Synthesis of Highly Symmetric Squalene-Derived Cytotoxic Polyethers"Chiraliry. 14・7. 578-586 (2002)