2002 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体の反応性の定量的記述とその速度差分析への応用
Project/Area Number |
13640601
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山田 眞吉 静岡大学, 工学部, 教授 (60022737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 基 静岡大学, 工学部, 教授 (80022242)
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Keywords | 錯形成速度 / 配位水分子交換速度 / 電子供与定数 / ピリジン類 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した研究の目的と本年度の研究実施計画に沿って,金属指示薬(多座配位子)の電子供与定数(E値)の評価法を確立することを目的とした研究を実施し,以下の成果を得た. 1.金属指示薬のE値に関する知見を得るために,金属指示薬の配位官能基としてピリジル基に着目しピリジル基を含む二座および三座ピリジン類(A)を含む1:1ニッケル(II)錯体NiAと1,10-フェナントロリン(phen)との錯形成反応をストップトフロー法で追跡し,自作した反応解析システムを用いてこの反応の速度定数^kNiAをAがビピリジン,テルピリジン,ピコリン酸,ジピコリン酸の場合について求めた.k_<NiA>=K_<os(NiA, phen)>×k_<NiA>^<-H2O>から得られるNiAの配位水分子交換速度定数k_<NiA>^<-H2O>を用いて,Aが脂肪族配位子の場合に配位水分子交換速度に及ぼすAの加速効果を定量的に記述する式として本研究組織が提案している式に基づき,上記の配位子のE値を求めた.その結果,二座および三座ピリジン類のE値はピリジル基とカルボキシル基のE値にこれらと隣り合う供与原子の隣接効果を考慮することにより定量的に記述できるとの結論を得た. 2.上記1.の結果は,本研究組織が脂肪族多座配位子のE値についてこれまでの研究から得ている結果を支持、補強するものである.この結果の普遍性を立証するとともに,金属指示薬(多座配位子)のE値の評価法を確立するために,配位官能基としてフェニル基あるいはアニリノ基を含む多座配位子のE値の実験的検討を考えている.
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Research Products
(1 results)