2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子量分画と吸着濃縮法を用いた電気化学的超高感度リン酸定量法の開発
Project/Area Number |
13640606
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
横井 邦彦 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (30144554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保埜 公二 大阪教育大学, 教育学部, 助手 (00269531)
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Keywords | リン酸イオン / 分子量分画 / 高感度定量 / 吸着濃縮 / 接触反応 / ボルタンメトリー / リンモリブデン酸 / 高速液体クロマトグラフィー |
Research Abstract |
本研究では、リン酸イオンの高感度定量のために、モリブデンイオン共存下でリンモリブデン酸を生成させ、分子量分画カラムを用いた液体クロマトグラフィーにより分離した後分解し、遊離したモリブデンイオンを吸着濃縮と接触反応を併用したストリッピングボルタンメトリーで定量しようとしている。今年度はボルタンメトリーによる検出下限改善のために各種のマンデル酸誘導体を用いて、検出感度に及ぼす各種の因子について検討した。その結果、3-クロロマンデル酸の場合に5pMの検出下限が得られた。この配位子による検出感度は1分間濃縮において1900nA/nMが得られ、現在知られている電気化学的なモリブデンイオンの検出法の中では世界最高である。試薬中の汚染の軽減などの環境を整えることにより、モリブデンイオンとして0.3pMの検出下限が期待でき、これは、リン酸イオンとしては0.03pMの検出下限に対応する極めて優れた検出法である。その他、4-クロロ並びに4-ブロモマンデル酸もまた、pMレベルのリン酸イオン定量のための、吸着濃縮用配位子として用いることができることが明らかになった。さらには、各種マンデル酸誘導体を用いた場合の、錯形成の程度、吸着効率、電子移動速度、接触反応速度を見積もったところ、水銀電極から吸着配位子への逆供与が吸着過程において重要であり、電子吸引性基が導入されれば、接触反応速度が増大することが分かった。また、リン酸イオンを含む各種イオンのスペシエーションの標準化のために、腐植物質標準試料の銅錯化容量と条件安定度定数の見積りを吸着濃縮ボルタンメトリーにより行い、EDTAを上回る安定度定数を持つ配位サイトがnMレベルで存在することを明らかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 久保埜 公二: "ニトロソフェノール誘導体を用いた吸着濃縮ボルタンメトリーによる鉄の高感度定量法"日本分析化学会第63回分析化学討論会講演要旨集. 167 (2002)
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[Publications] 横井 邦彦: "多糖類の比色定量のための紫外線照射を用いた迅速・簡易前処理法の開発"日本分析化学会第63回分析化学討論会講演要旨集. 198 (2002)
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[Publications] 大田 春奈: "吸着濃縮ボルタンメトリーによる腐植物質標準試料の銅錯化容量と条件安定度定数の見積り-分子量分画された試料について"日本分析化学会第51年会講演要旨集. 318 (2002)
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[Publications] 竹内 至哉: "マンデル酸誘導体を用いた吸着濃縮ボルタンメトリーによるモリブデンの検出感度に及ぼす各種の因子"日本分析化学会第51年会講演要旨集. 331 (2002)
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[Publications] Kunihiko YOKOI: "Photolytic decomposition of saccharides with a high output low-pressure mercury lamp for voltammetric trace analysis"ANALYTICAL SCIENCES. 18. 1155-1157 (2002)
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[Publications] Koji KUBONO: "Crystal structure of {1,4-Bis[1-(3,5-dichlorophenolato-2-ylmethyl)-ylpropylamino-K2N, o]piperasine-K2N, N'}cobalt(II)"ANALYTICAL SCIENCES. (掲載予定).
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[Publications] 日本分析化学会近畿支部編: "はかってなんぼ-学校編"丸善株式会社. 176 (2002)