2001 Fiscal Year Annual Research Report
光吸収・熱依存特性を示す新しいイオン会合試薬の設計・開発とイオン識別機構の解明
Project/Area Number |
13640609
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
酒井 忠雄 愛知工業大学, 工学部, 教授 (30076038)
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Keywords | イオン会合反応 / 目視検出法(可視吸収) / 逐次定量 / 局所麻酔薬 / キャピラリー電気泳動法 / 紫外吸収 / 茶成分分析 / ポリフェノール類 |
Research Abstract |
1.バルキーで無色の陽イオンに疎水性のある陰イオン染料が会合し、イオン会合体を形成するが、この会合が定量的に起これば間接的に陽イオンを定量することができる。たとえば局所麻酔薬であるアミンは中性付近では(R_3NH^+)として存在し、これに陰イオン染料のTBPE^-を会合させるとR_3NH^+・TBPE^-の赤色会合体を形成する。しかし、さらにTBPE^-より優れた会合性をもつ無色の陰イオンTPB^-(テトラフェニルボロン)を加えると、イオン置換反応が起こり、R_3NH^+・TBPE^-はR_3NH^+・TPB^-となりTBPEHが遊離する。この反応においては赤色から黄色への変色が観察されると同時に化学量論的な反応が成立するため、アミンの定量が可能となる。通常イオンの交換反応はよくあるが、変色を伴う置換反応は珍しい。また陽イオン界面活性剤(R_4N^+)などのイオンが共存すれば相互妨害するのが普通であるが、滴定を適用することで、イオン会合能の強さからR_4N^+・TBPE^-会合体生成がR_3NH^+・TBPE^-より優先することを見いだした。この会合性の差を巧みに利用するとまずR_4N^+が、ついでR_3NH^+の逐次定量ができることを見いだした。本研究では局所麻酔薬であるプロカイン、ジブカイン、テトラカインの定量、さらに複合製剤中のベンザルコニウムとジフェンヒドラミンの逐次分析に良好な結果が得られ、実用的にも有用的にも期待できる。 2.茶成分中のポリフェノール類が様々な生理活性物質を含むことが知られており、最近健康・安全食品として注目されている。しかし、生産地や商品においてそれぞれの含有量がことなることが指摘されている。そこで、紫外吸収によるキャピラリー電気泳動法により、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートおよびフェノールの分離検出法を確立し、その基礎条件に基づいて市販のペットボトル、缶などの保存日本茶、ウーロン茶を対象に成分分析を行い、比較検討した。その結果、産地で主成分に差がみられ、また保存状態が良ければ酸化などの影響が少ないことが分かった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tadao Sakai: "Ion Association Titration for the Determination of Local Anesthetics in Pharmaceuticals with Tetrabromophenolphthalein Ethyl Ester as an Indicator"Analytical Sciences. 17. 1105-1107 (2001)
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[Publications] Tadao Sakai: "Stepwise Determination of Quaternary Ammonium Salts and Aromatic Amines in Pharmaceuticals by Ion Association Titration"Analytical Sciences. 17. 1379-1382 (2001)
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[Publications] Norio Teshima: "Separation and Determination of Catechins and caffeine in Japanese Teas by Capillarv Electrophoresis"Analytical Sciences. In press.
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[Publications] Tadao Sakai: "Extraction-flow injection spectrofluorimetric measurements of dissolved oxygen in environmental waters using 2-thionaphthol"Analytica Chimica Acta. 438. 117-121 (2001)
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[Publications] 酒井忠雄: "シーケンシャルインジェクションアナリシス"ぶんせき. No.6. 289-295 (2001)
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[Publications] Norio Teshima: "Simultaneous flow injection determination of ascorbic acid and cysteine using double flow cell"Analytica Chimica Acta. 438. 21-29 (2001)
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[Publications] 奥谷忠雄: "基礎教育分析化学演習"東京教学社. 127 (2001)