2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規ヘテロクロマチン関連タンパクMeteorの同定とそれによる動原体の構築の研究
Project/Area Number |
13640614
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 喜博 京都工芸繊維大学, ショウジョウバエ遺伝資源センター, 講師 (90201938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 政光 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (00182460)
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Keywords | ショジョウバエ / 細胞分裂 / 減数分裂 / 微小管 |
Research Abstract |
さきに分離したショウジョウバエのmeteor(mtr)変異体では、雄の減数分裂時に染色体およびミトコンドリアの分配が異常となり、精細胞の異数化が頻度高く観察された。このためホモ雄は完全不妊となる。染色体ならびにミトコンドリアの不等分配の原因を知るために、変異体の減数分裂細胞に細胞分裂装置の異常がないか調べた。その結果、変異体の減数分裂の際に彎曲したり、途中で枝別れしたM期微小管が作られていることがわかった。さらにこの変異体では、雄の減数分裂が早期に開始されることをみいだした。正常な雄の精子形成過程では、16個の細胞がひとつのシストを形成し、そのなかで細胞周期が同調して進行する。減数分裂を開始するG2期において減数分裂およびその後の精子形成に必要な遺伝子の発現をおこなう。この変異体では、G2期にあるシスト内ですでに一部の細胞が染色体の凝縮、核膜崩壊を開始していた。さらに微小管の束化も観察でき、M期の微小管構造が作られていることも確認された。この減数分裂の早期開始が染色体ならびにミトコンドリアの不等分配の原因となるM期微小管構造の異常と密接に関連していると考えられる。また変異体の解析から、mtr遺伝子が減数分裂の開始を負に制御し、遺伝子発現に必要なG2期の確保を保証している可能性が示唆された。昨年度作成したMTRタンパクに対する抗体を用いてMTRタンパクの変動を調べたところ,減数分裂直前の細胞質にもっとも多くの蓄積がみられ、減数分裂開始後に急速に消失することがわかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Mathe, E., Inoue, Y.H., Glover D.M.: "Orbit, the CLASP orthologue of Drosophila, is required for asymmetric stem cell and cystocyte divisions and development of the polarised microtubule network that interconnects oocyte and nurse cells during oogenesis"Development. 130. 901-915 (2003)
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[Publications] Takata, K, Inoue, Y.H., et al.: "Spatio-temporal expression of Drosophila mitochondrial transcription factor A during development"Cell Biology International. 27. 361-374 (2003)
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[Publications] Higashiyama, H., Hirose, F., Yamaguchi, M., Inoue, Y.H., Fujikake, N., Matsukage, A., Kakizuka, A: "Identification of ter94, Drosophila VCP, as a modulator of polyglutamine-induced eye degeneration"Cell Death Differ.. 9. 264-273 (2002)
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[Publications] Hirose, F., Ohshima, N., Kwon, E.-J., Yoshida, H., Yamaguchi, M.: "Drosophila Mi-2 negatively regulates dDREF by inhibiting its DNA binding activity"Mol. Cell. Biol.. 22. 5182-5193 (2002)
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[Publications] Hwang M.-S., Kim Y.-S., Choi N.-H., Park J.-H., Oh E.-J., Kwon E.-J., Yamaguchi M., Yoo M.-A.: "The Caudal homeodomain protein activates Drosophila E2F gene expression"Nucleic Acids Res.. 23. 5029-5035 (2002)
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[Publications] 井上喜博: "ゲノムの複製と分配"松影昭夫・正井久雄編 シュプリンガーフエアラーク東京. 8 (2002)
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[Publications] 井上喜博, 西田育巧: "生物薬科学実験講座 8巻 遺伝子(II)"名取俊二 編 廣川書店. 10 (2003)