2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポジショナルクローニングによる未分化幹細胞増殖制御遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
13640616
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
阿部 訓也 理化学研究所, 動物変異動態解析技術開発チーム, チームリーダー (40240915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 信夫 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (20001852)
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Keywords | 原始外胚葉 / 未分化幹細胞 / 細胞増殖・分化 / t-コンプレックス / マウス遺伝学 |
Research Abstract |
未分化幹細胞である原始外胚葉の増殖・分化に異常を呈する突然変異tw5の原因遺伝子の同定を目的に、この突然変異がマップされるゲノム領域のクローニングを行った。tw5変異は多型マーカーであるD17Mit147とH-2Pb間に存在する。この領域のDNA配列の決定を行い、750kbのゲノム領域に少なくとも36の転写単位が存在することを見出した。それらの遺伝子の発現を調べたところ、36のうち33遺伝子はES細胞あるいは6.5日胚に発現することが確かめられた。これらの遺伝子はマップ位置と発現パターンからtw5変異責任遺伝子の候補である。さらに絞り込むために、tw5ゲノムの配列解析、およびtw5ホモ個体でのこれらの遺伝子の発現解析を現在進めている。また、変異表現型を機能的にレスキューするためにtw5ゲノム領域を導入したBACトランスジェニックマウスの作製を行なっている。 tw5変異が胚体のどの組織で働くかを調べる目的で、tw5ホモ胚と4倍体胚でキメラを作渡し、その表現型の解析を行った。tw5ホモ胚は胎生6.5日の卵筒胚時に致死となるが、4倍体とのキメラでは、9.5日の神経胚まで発生することが明らかとなった。このことは、tw5ホモの原始外胚葉は正常な胚体外外胚葉、あるいは臓側内胚葉の存在により、致死とならず、より後期のステージまで発生する能力を持つことを意味し、tw5遺伝子は実際は、胚体外外胚葉、あるいは臓側内胚葉で機能し、その作用が、細胞間を通じて働き、原始外胚葉の増殖・分化に必須の役割を持つ、というように考えられる。したがって、現在まで得られた候補遺伝子が6.5日胚の胚体外部で発現しているか否かを検討することが重要である。
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[Publications] Li, Z.Z., Kondo, et al.: "Expression of Hqk encoding a KH RNA binding protein is altered in human glioma"Jpn. J. Cancer Res.. 90. 1-12 (2002)
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[Publications] Yamaki, M., et al.: "The mouse Edr2 (Mph2) gene has two forms of mRNA encoding 90-and 36-kDa polypeptides"Gene. 288. 103-110 (2002)
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[Publications] Hidenori Kiyosawa, et al.: "Speculations on the Role of Natural Antisense Transcripts in Mammalian X Chromosome Evolution"Cytogenetic and Genome Research. (in press).