2002 Fiscal Year Annual Research Report
円口類メクラウナギ目の生殖細胞特異的5Sリボソーマル遺伝子の解析
Project/Area Number |
13640619
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
久保田 宗一郎 東邦大学, 理学部, 講師 (30277347)
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Keywords | 染色体放出 / メクラウナギ / 5SrDNA |
Research Abstract |
本年度はヌタウナギの生殖細胞特異的5S rDNA(生殖細胞型5S rDNA)と体細胞の5S rDNA(生殖細胞特異的なもの以外のもの;体細胞型5S rDNA)のそれぞれの遺伝子領域と非転写スペーサー領域(NTS領域)の塩基配列を詳細に解析すること、及びそれらの遺伝子座を決定すること、近縁種においても染色体放出により捨てられる生殖細胞特異的5S rDNAの存在の有無を解析することの3点を目標にして、以下の実験を行った。 前年度までに判明した5S rDNA遺伝子領域の塩基配列から設計したプライマーとNTS領域の塩基配列から設計したプライマーを使用したPCR及びそれに続くTAクローニング並びに塩基配列の決定により、生殖細胞型5S rDNAと体細胞型5S rDNAでは、遺伝子領域(120 bp)の塩基配列が10塩基異なることが明らかとなった。また、NTS領域の塩基配列が両型とも、他の生物種に比較して極めて多様で、加えて多様かつ多量な偽遺伝子も存在することが明らかとなった。これまでの解析では、両型のNTS塩基配列に相同な領域は検出されていない。次にこの2つの5S rDNAの遺伝子座を決定する目的で、体細胞染色体及び生殖細胞染色体に対する蛍光イン・サイチュ・ハイブリダイゼーション(FISH)解析を試みた。多様なプローブを用いて解析を試みたが、明確な結果を得られなかったため、イン・サイチュPCRの変法であるPrimed in-situ Labeling(PRINS)にて遺伝子座の決定を試みた。その結果、生殖細胞型5S rDNAは、この種が染色体放出時に選択的に放出することが確認されているヘテロクロマチンから成る16本の染色体に座すること、その座は16本の染色体それぞれで染色体上の一部に極在せずに分散して存在することが明らかとなった。体細胞型5S rDNAの遺伝子座については現在解析中である。近縁2種における5S rDNAの検出及び解析についても現在進行中である。
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