2003 Fiscal Year Annual Research Report
円口類メクラウナギ目の生殖細胞特異的5Sリボソーマル遺伝子の解析
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13640619
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
久保田 宗一郎 東邦大学, 理学部, 助教授 (30277347)
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Keywords | 染色体放出 / メクラウナギ / 5S rDNA |
Research Abstract |
最終年度の本年度は初期目的達成のため、1)ヌタウナギの体細胞型5S rDNAの遺伝子の座決定、2)同種の両型5S rDNAの転写活性の確認、3)他のメクラウナギ目各種の5S rDNAの検出・解析、及び染色体放出による5S rRNA遺伝子制御の普遍性の検証、の3点を目標に以下の実験を行った。 はじめにヌタウナギの体細胞型5S rDNAの全領域をプローブとしたFISH解析により、この遺伝子座決定を試みた結果、体細胞型5S rDNAはこの種の染色体放出時に失われない2対(またはそれ以上)の染色体上に位置していることが判明した。次に同種の両型5S rDNA遺伝子各の転写活性の有無を、RNA解析により検索した。生殖細胞(卵巣等)及び体細胞(肝臓等)から低分子RNAを抽出、RT-PCR・クローニング後に塩基配列を決定した結果、両型5S rDNA遺伝子共に転写活性を持ち、また生殖細胞では両型が、体細胞では体細胞型5SrDNA遺伝子のみが転写されていることが明らかとなった。これは、この種の5S rDNAは脊椎動物の幾つかの種ので知られるDual Expression System(DES)を行っていること、またそれは染色体放出によって制御されていることを明確に表している。最後にヌタウナギで明らかとなった「染色体放出による5S rRNA遺伝子制御」がメクラウナギ目に共通の機構であること、さらにその進化的側面を明らかにするため、近縁のメクラウナギ目各種の5S rDNA遺伝子を検出、塩基配列を決定した。その結果、検索したメクラウナギ目全種において生殖細胞型並びに体細胞型の5S rDNA遺伝子が検出された。遺伝子系統解析から、5S rDNAの分化はメクラウナギ目とヤツメウナギ目の分化後かつメクラウナギ目各種の種分化前に生じていることが強く示唆された。この結果は、染色体放出による5S rDNAのDES制御はメクラウナギ目魚類に共通の現象であることを明確に表している。
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