2001 Fiscal Year Annual Research Report
形態発生・生活史の環境依存性に関する研究:進化生態学的アプローチ
Project/Area Number |
13640621
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西村 欣也 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (30222186)
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Keywords | 共食い / 進化 / ゲーム / 形態 / コスト |
Research Abstract |
共食いは、利用可能な餌が少なく、込み合った環境で進化すると考えられているが、その進化に関する理論的研究は不十分である。そこで、同種個体間のゲームとして、共食いの進化に関する考察を行った。共食いゲームにおいて、それぞれのプレーヤーの戦略は、遭遇時の共食い率である。遭遇の結末が、「相手を食う」、「相手に食われる」のいずれになるかは、自分の戦略と相手の戦略に依存する。「共食いゲーム」は、「採餌ゲーム」と「生き残りゲーム」の2つのサブゲームから成る。「採餌ゲーム」において、高い共食い率の戦略には、高い武装コストが伴う。相手の高い共食い率は、高い反撃コストとなる。これらのコストを踏まえたうえで、同種他個体を餌として利用することがエネルギー獲得率を最大化する方策かどうかは、潜在的利用度と、エネルギーコスト、他の餌の利用可能性に依存する。「生き残りゲーム」では、集団の中で他者より高い共食い率を採用することが、他者に食われることを減じ、高い生存率につながる。「共食いゲーム」では、これら「採餌ゲーム」と「生き残りゲーム」の密接な関係を調べる必要がある。 本年度、共食いの進化を考える上で、もっとも重要となる要素について取り上げ、上記の因果関係の論理的推論を行うための、最も節約的な(単純な)数理モデルの作成に当たった。そして、同種の餌としての価値、他の利用可能な餌の密度、共食いによって生じるエネルギーコストが、進化ゲームにおいて果たす役割について、作成した数理モデルの解析的および数値的解析を行った。
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Research Products
(1 results)