2002 Fiscal Year Annual Research Report
形態発生・生活史の環境依存性に関する研究:進化生態学的アプローチ
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13640621
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西村 欣也 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (30222186)
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Keywords | ゲーム / 形質適応進化 / 形質分岐 / 収束安定 / 共食い |
Research Abstract |
生物の形質には、種間・種内の相互作用による自然選択の結果として進化したと考えられるものがある。相互作用による自然選択のプロセスは、ゲームの理論によって進化ゲームとして解析される。戦略が連続尺度で定義される進化ゲームでは、戦略が属性尺度で定義される場合と異なり、集団形質の進化ダイナミクスと、その平衡点の安定性を解析することが容易である。そのため連続形質の進化の平衡点の存在、収束性・安定性の条件についての研究が行われてきた。形質進化のゲームモデルにおいて、平衡点が収束安定だが進化的に不安定な場合、集団形質が平衡点に収束をするが、いったん平衡点に収束すると、その平衡点において分岐進化が生じることが研究されている。 分岐進化に関する従来の研究では、集団への新規形質の供給(突然変異発生)は野生型形質の近傍で起こり、突然変異発生は形質の選択過程に比して非常に稀であると考え、突然変異・選択バランスによって保たれる形質分散が極めて小さい状況を仮定している。また、この仮定を緩和しても、進化ダイナミクスは普遍であると考えられていた。 共食形質の生活史進化モデルを作成した。あるパラメータセットにおいて、共食い率は集団内で2型に進化する。その条件のもとで、2型分岐後の進化ダイナミクスを調べた。突然変異・選択バランスによって保たれる形質分散の大きさの違いが、異なる形質分化ダイナミクスを生じさせることを発見し、そのプロセスについて明らかにした。
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