2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640628
|
Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
工藤 慎一 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (90284330)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒谷 邦雄 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (10263138)
|
Keywords | 栄養卵 / 親の投資 / 亜社会性 / ツチカメムシ科 |
Research Abstract |
今年度は,ミツボシツチカメムシにおける栄養卵投資の寄主植物間比較,さらに孵化幼虫による栄養卵の選択的消費に関して研究を行った。一方,分析に十分なサンプルの採取ができなかったため,当初予定していた栄養卵成分の特殊化に関しては検討できなかった。 栄養卵投資の寄主植物間比較:野外におけるオドリコソウとヒメオドリコソウの種子生産,並びにそれらを利用するミツボシツチカメムシ個体群の(栄養卵生産を含めた)繁殖形質を調査し比較した。両寄主植物の種子生産時期は1月近いずれがあり,カメムシの繁殖フェノロジーとの同調性も異なっていた。種子サイズも両寄主間で大きく異なり,幼虫の利用可能な地表の種子密度(量)はオドリコソウ個体群で遥かに少なかった。また,カメムシ雌親の体サイズや受精卵数,栄養卵数は,餌環境の厳しいと考えられるオドリコソウ個体群で小さかった。しかし,受精卵当り栄養卵数は,逆にオドリコソウ個体群で大きくなる傾向があった。ただしその差はわずかで,結論を得るには種子生産の年次変動を考慮可能な長期の調査データが必要と思われる。 栄養卵の選択的消費:受精卵の食卵は,幼虫にとって大きな包括適応度コストとなる。したがって,孵化幼虫は何らかのcueによって栄養卵を選択的に摂食(受精卵の摂食を忌避)していると予想される。栄養卵と,低温処理によって異なる程度発育遅延させた受精卵を孵化幼虫に一定の方法で与えて,食卵の選択実験を行った。その結果,幼虫は明らかに孵化間近の受精卵を避けて食卵することが判明した。しかし,大きく発育の遅延した受精卵に対しては攻撃を行い,その食卵確率には栄養卵と全く差がなかった。食卵に際して,孵化幼虫は(卵サイズや卵殻形態ではなく)胚子発育をcueにしていると考えられる。
|
Research Products
(1 results)