2002 Fiscal Year Annual Research Report
不均―環境における群集動態と移動分散がもたらす補助効果
Project/Area Number |
13640634
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Research Institution | OSAKA WOMEN' S UNIVERSITY |
Principal Investigator |
難波 利幸 大阪女子大学, 理学部, 教授 (30146956)
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Keywords | 群集 / 移動分散 / 巻き添え競争 / 資源利用競争 / Lotka-Volterraモデル / 競争と移住のトレードオフ / 共存 / source-sink |
Research Abstract |
本研究の目的は,質の異なるいくつかの生息地からなる環境において,構成種が生息地間を移動することにより,生物群集が広域で存続できるようになるかどうかを明らかにすることである。本年度は,間接競争の影響に注目し,Lotka-Volterr型のモデルで,広域での共存可能性について調べた。 被食者を共有する2種の捕食者間の資源利用競争について,捕食者の個体群動態に密度効果がある場合を考える。捕食者個体群のパッチ間移動があれば,競争能力が高い種の移動率が閾値を超えると,豊かなパッチで競争能力の低い種が存続できるようになる。豊かなパッチで存続可能になったことによりsource-sink構造ができ,より貧しいパッチでも種の存続が可能になる。存続が可能になるのは,強者の移出が死亡と同じ効果を持つからで,強者の移動率が高いほど弱者に有利になる。 捕食者を共有する2種の被食者は巻き添え競争の関係にあり、どちらか1種の被食者が絶滅することがある。この場合も、2つのパッチが異質で,局所的に競争能力がより高い種の移動率がある値を超えると,双方のパッチで2種の存続が可能になる。巻き添え競争は共通の捕食者を介在して働くから,捕食者の移動は巻き添え競争に弱い被食者の存続に有利に働く。 2種の個体群が干渉競争をする場合については,既にTakeuchi(1989)によって詳細に調べられ,同様のことが分かっている。したがって、以上の結果は競争が直接的か間接的かによらない一般的なものであり、2つの異なるパッチ間を個体群が拡散型の移動をするときには,「競争と移住のトレードオフ(competition--colonization trade--off)」とは異なるメカニズムで競争種の共存が実現することが明らかになった。
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Research Products
(1 results)