2001 Fiscal Year Annual Research Report
変動環境下における生物集団の絶滅確率の推定手法の開発 --孤立林林床の多年生草本植物を事例として--
Project/Area Number |
13640637
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
高田 壮則 北海道東海大学, 国際文化学部, 教授 (80206755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 雅 北海道大学, 地球環境科学研究科, 助教授 (90194274)
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Keywords | 多年生草本 / コンピュータシュミレーション / 絶滅確率 / 変動環境 |
Research Abstract |
本研究で対象としている生活史の異なる林床植物4種(エンレイソウ、オオバナノエンレイソウ、オオウバユリ、オクエゾサイシン)に関して、これまで個体にマーキング処理を施してある永久調査区において、個体の成長、生存、死亡に関わる継続追跡調査を行った。また、結実期には各種について種子結実調査を行い、個体群の繁殖率に関する情報を収集した。このほか、オオバナノエンレイソウに関しては、さまざまな大きさの孤立林が点在する北海道十勝地方において、林縁から林内にかけて光強度ならびに土壌含水率の測定を行い、物理的環境の変化がオオバナノエンレイソウ個体群に及ぼす影響について評価を試みた。その結果、開花個体密度は個体群全体を通じて変化がなかったが、実生を含めた幼植物の分布は、光強度が高く、乾燥している林縁部で低下する傾向、すなわち「エッジ効果」の存在が認められた。 また、集団の絶滅確率を求めるシミュレーションプログラムに用いるために、変動する環境下での個体群成長率の平均や分散を求める理論式を求めた。この理論式によると、変動によって引き起こされる生存率や繁殖率の分散が大きいほど個体群成長率の平均や分散は大きい影響を受け、その影響が正に働くかどうかは個体群成長率と生存率・繁殖率の関数関係に依存することが明らかになった。この理論式を用いて、エンレイソウ・オオバナノエンレイソウの100年後の個体数変動をシミュレートしたところ、オオバナノエンレイソウの集団の個体数が減少する確率はゼロであったが、エンレイソウの場合は個体数が3割以下に減少する確率は約8割となり、対照的な結果が得られた。
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