2004 Fiscal Year Annual Research Report
高精度の花粉分析による山地湿原の長期的植生変遷の解析
Project/Area Number |
13640638
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
米林 仲 立正大学, 地球環境科学部, 教授 (50250155)
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Keywords | 花粉分析 / 山地湿原 / 植生変遷 / テフロクロノロジー / 湿原植生 |
Research Abstract |
1.青森県八甲田山地の4湿原において表層(現在)とTo-aテフラ直下(西暦915年)の花粉分析を行なった. 2.その結果,同一地域内で近接する湿原でも,最近の約1100年間に乾燥化している湿原(黄瀬谷地)と,発達している湿原(下毛無)があったことが示された.これは,山地湿原の植生変遷が,気候変遷よりも局地的要因に支配されていることを示す. 3.矢櫃谷地湿原においてTo-aとB-Tmテフラ降下後の詳細な植生変遷を明らかにするため,2mm毎の花粉分析を行なった,これは堆積速度から推定すると,それぞれ約4年と約9年間隔での分析に相当する. 4.B-Tmは厚さ2.5cmと薄く,厚さ6cmのTo-aより植生に与えた影響は小さかったと予想されるが,実際の花粉分析から以下のことを実証的に示した. 5.いずれのテフラ降下後も最初にスゲ類が主体の湿原が成立した.B-Tm降下約70年後にはモウセンゴケ,シラネニンジン,ミズゴケが増加し,現在とほぼ同じ湿原植生になったと考えられる.その間に3つの異なる段階が認識された.一方,To-a降下後は,約20年後までにツルコケモモやコバギボウシが増加した.その後,回復途上でB-Tmが降下したと考えられる. 6.B-Tmの降下は森林植生に顕著な影響を及ぼさなかった.これに対し,To-aの降下は優占種であるブナの花粉生産を顕著に減少させたが,約20年で回復した.
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Research Products
(2 results)