2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640661
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馳澤 盛一郎 東京大学, 大学院・新領域創成化学研究科, 教授 (40172902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 矩朗 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60124343)
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Keywords | 微小管 / 細胞周期 / GFP / 細胞同調 / タバコBY-2細胞 / BY-GT16細胞 / 液胞 / FM4-64 |
Research Abstract |
高等植物細胞に特徴的な表層微小管は細胞の形態形成において主要な役割を担っていることが知られている。我々はこれまで高度に同調したタバコ懸濁培養細胞BY-2を化学固定した後に間接蛍光抗体染色法を用いて、M/G1境界期において表層微小管が再形成する過程を観察してきた。しかし分単位に起こる変化を捉えるためには1つの生細胞内で連続的に観察をする必要があることから、GFP(Green Fluorescent Protein)-α-チューブリン融合タンパク質を恒常的に発現するタバコ培養細胞の形質転換株(BY-GT16)を作製し、生細胞内における微小管動態の経時観察に成功した。さらに共焦点レーザー顕微鏡を用いた詳細な経時観察の結果、M期終期からG1期への移行期に表層微小管が再形成する際、フラグモプラストが消失した後ごく早い時間に細胞表層に蛍光輝点が現れ、そこから最初の表層微小管が出現・伸長することが分かった。それらの微小管は引き続き細胞長軸に平行な方向に伸長し、細胞の端に届いた後に分裂面近傍より垂直な方向の表層微小管が出現して細胞全体に広がることが観察された。これにより平行な表層微小管が垂直な表層微小管に先立って出現することが確認された(Kumagai et al.2001)。 また、我々は高等植物細胞の形態形成における液胞の寄与についても研究を進めている。高等植物細胞の液胞はさまざまな機能を持ち、形態についても多様であることが知られている。近年、一個の細胞内において液胞の機能が分化に伴って変化することや機能の異なる複数の液胞が共存することが分かってきた。一方、細胞の形態形成や細胞分裂のような現象に液胞がどのように関与しているかについてはまだ不明な点も多い。生細胞における液胞の動態を可視化すべく、脂溶性の蛍光色素であるFM4-64によるパルスラベルを行い、タバコ培養細胞BY-2の細胞周期各期における液胞の動態の観察に成功した。また、上記のBY-GT16細胞を用いて、液胞の動態を微小管構造と合わせて検討した。これらの観察の結果、G2期の終わりよりフラグモソーム中にチューブ状の液胞構造が連なったネットワークが微小管の分裂装置を取り巻くように生じること、後期以降ではチューブ状構造はフラグモプラスト近傍にも出現すること、G1期初めに細胞板と娘核の間にある液胞構造のいくつかは核が細胞板から離れて行くにつれて体積を増加して大きな間期の液胞に成長することなどが明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 熊谷 史: "Dynamic organization of microtubules and microfilaments during cell cycle progression in higher plant cells"Plant Biology. 3. 4-16 (2001)
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[Publications] 熊谷 史: "Fate of nascent microtubules organized at the M/G1 interface, as visualized by synchronized tobacco BY-2 cells stably expressing GFP-tubulin"Plant & Cell Physiology. 42・7. 723-732 (2001)
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[Publications] 馳澤 盛一郎: "Dynamic changes and the role of the cytoskeleton during the cell cycle in higher plant cells"International Review of Cytology. 214. 161-191 (2002)