2001 Fiscal Year Annual Research Report
多振動細胞システムにおける生休リズムの同調機構の生理学的研究
Project/Area Number |
13640685
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
市川 敏夫 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (50136420)
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Keywords | カイコガ / 神経分泌細胞 / ペプチドホルモン / 昆虫インスリン / 発火活動 / ウルトラディアンリズム / 概日リズム / カップリング |
Research Abstract |
カイコガ蛹の4対のボンビキシン分泌細胞の電気的活動を数日間連続記録し、各細胞の発火パターンを解析した。各細胞は8〜16分続く一連の発火活動を20〜60分毎に繰り返すウルトラディアンリズム振動体であるが、全ての細胞間で明らかなスパイク同期があり、ボンビキシン分泌細胞群は互いにカップリングして多振動体システムを形成していた。各細胞問の相互相関から以下のような神経システムの構築様式が示唆された。(1)カップリングの強さはみな同じではなく、1個の細胞は反対側のおよそ2個から3個の細胞と比較的強くカップリングしている。(2)カップリングが比較的強い細胞問の平均周期はほぼ同じである。(3)たくさんの細胞とカップリングし、相関係数も大きい細胞の周期は長く、周期の安定性は低い。(4)カップリングする相手細胞が少なく、相関係数も低い細胞の周期は比較的安定している。おそらく脳内での各細胞の空間的な位置関係が同等ではなく、集団の中心に位置する細胞と周辺に位置する細胞でカップリングする細胞数やその強さが異なるために、このようなヘテロな集団構造が形成されたものと考えられる。 カイコガ蜻のアラタ体から数日間連続記録を行ったが、発火活動が概日リズムを示す神経分泌細胞は見られなかった。このことから、PER免疫染色陽性細胞など概日時計細胞の候補と考えられる細胞の軸索はアラタ体ではなく、側心体で終末することが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ichikawa, T.: "Uliradian firing rhythm of neurosecretory cells producing an insulin-related peptide in the silkmoth Bombyx mori"Zoological Science. 18. 151-158 (2001)
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[Publications] Ichikawa, T.: "Mutual coupling among insect neurosecretory cells with an ultradian firing rhythm"Neuroscience Letters. 299. 73-76 (2001)
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[Publications] Ichikawa, T.: "Circadian firing activities of neurosecretory cells releasing pheromonotropic neuropeptides in the silkmoth, Bombyx mori"Zoological Science. 184. 645-649 (2001)
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[Publications] Ichikawa, T.: "Synchronous firing dynamics in a heterogeneous neurosecretory-cell population in an insect"Brain Research. (in press). (2002)
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[Publications] Ichikawa, T.: "Coordination of firing activity of neurosecretory cells with cardiac activity in the silkmoth Bombyx mori"Comparative Biochemistry and Physiology. (in press). (2002)