2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640704
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
今市 涼子 日本女子大学, 理学部, 教授 (60112752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平塚 理恵 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30246376)
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Keywords | 茎頂 / 進化 / 原形質連絡 / TEM / 維管束植物 / 小葉類 / 大葉類 |
Research Abstract |
維管束植物の茎頂構造の進化を解明するために、被子植物(シロイヌナズナ)、裸子植物(イチョウ)、エフェドラ)、シダ植物大葉類(イワヒメワラビ)、シダ植物無葉類(マツバラン)、シダ植物楔葉類(スギナ)、シダ植物小葉類(マルテンシクラマゴケ、ヒカゲノカズラ、トウゲシバ)の茎頂構成細胞の細胞壁の原形質連絡(PD)密度をTEM観察し、植物群間で比較した。被子植物と裸子植物の茎頂は、前者が層状構造を示さないのに対して、後者が外衣・内体構造で明瞭な層状構造を示すという大きな違いがあるにもかかわらず、茎頂構成細胞のPD数はともに1細胞壁、1断面当たり十数個で、頂端から茎頂周辺部へむけての密度勾配はみられなかった。一方1個の頂端細胞が始原細胞として働くシダ植物木葉類の茎頂では頂端細胞の細胞壁のPD数は100以上を数え、茎頂周辺部へ向かうにつれてPD数は減少し、頂端細胞から周辺部への密度勾配がみられた。同様に1個の頂端細胞を茎頂にもつシダ植物楔葉類と無葉類でも明瞭な密度勾配がみられた。この事実は、裸子・被子植物とシダ植物大葉類(無葉類、楔葉類を含む)の2つの植物群で茎と葉の進化が別々に起きたとするこれまでの説を支持するものである。一方シダ植物の進化史上最初に分岐したとされる小葉類では興味深い結果が得られた。1個の頂端細胞をもつクラマゴケ類で大葉類と同様に頂端細胞は多数のPDをもち、これを頂点とするPD密度勾配,が明瞭であったが、複数の頂端細胞群をもつヒカゲノカズラ類ではPDは数個と少なかった。さらに葉原基のPD密度も、クラマゴケ類では多いのに対して、ヒカゲノカズラ類では少なく、茎頂構造の違いを反映する結果となった。これは、小葉類の中で多様化が起きたか、あるいは小葉の起源がグループによって異なった可能性を示唆するものである。
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