2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640708
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
遊川 知久 独立行政法人国立科学博物館, 筑波研究資料センター, 主任研究官 (50280524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 潤 東北大学, 大学院・生命科学研究科・生態システム生命科学専攻, 助手 (80272011)
三吉 一光 秋田県立大学, 生物資源科学館, 助教授 (60312237)
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Keywords | 生活形 / 着生 / 菌寄生 / Cymbidium / ラン科 / 分子系統 |
Research Abstract |
シュンラン属(Cymbidium Sw.)は、東〜東南アジア全域からオーストラリァにかけて約50種が分布する、ラン科の多年生草本である。本属においては、地生、岩生、着生と生活形が分化し、さらにCAM型光合成や完全菌寄生が進化するという、属レベルでは他に類例を見ない、生活形と栄養摂取様式の多様化が生じている。本研究ではシュンラン属21種と外群となる4分類群を用いて、生活形・栄養摂取様式の進化と解剖学的形質の関連を明らかにした。主な結果は、以下の通りである。(1)気孔は葉の背軸面から見出されたが、C.canaliculatumのみ、向軸、背軸の両面に存在した。本種はサバンナの木に着生するCAM植物であることから、強い光ストレスに適応した形質と考えられる。(2)葉の下皮に多様な厚壁繊維が生じており、4タイプに区別できた。また林床に生育するシュンラン(C.goeringii)とアキザキナギラン(C.aspidistrifolium)、完全菌寄生のマヤラン(C.macrorhizon)においては、下皮の厚壁繊維が見られなかった。着生化の程度が進んでいる種ほど、下皮が著しく厚壁化することが分かった。(3)Cymbidium節の種は、葉の向軸面寄りに柵状組織が分化していた。本節は熱帯低地林の木の上部に着生することから、強い光ストレスに適応した形質と考えられる。(4)マヤランを除くすべての種の葉と茎には、円錐形の珪酸体が存在した。一部の着生種において根から珪酸体が見出されたが、維管束植物ではきわめてまれである。(5)一部の着生種を除き、根被と皮層から菌根菌が見出された。マヤランにおいては、菌根菌が根茎に侵入していた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yukawa, T., Stern, W.L.: "Comparative vegetative anatomy and systematics of Cymbidium(Cymbidieae, Orchidaceae)"Botanical Journal of the Linnean Society. (in press).