2002 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類MHCクラスIならびにMIC遺伝子群の起源と進化
Project/Area Number |
13640717
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
舘野 義男 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 教授 (00202424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 正明 不二家, バイオサイエンス研究所, 研究員
小林 薫(深海) 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 助手 (20225494)
猪子 英俊 東海大学, 医学部, 教授 (10101932)
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Keywords | HLAクラスI遺伝子領域 / 分子進化 / ゲノム解析 / ゲノム断片重複 / LINE配列 / 中立進化 / 分岐時間 / 霊長類進化 |
Research Abstract |
MHC領域の進化を研究するために、私達が配列を決定したヒトとチンパンジーの配列解析を行った。今回はMHCのクラスI領域に存在するBとCの遺伝子並びにMICAとMICB遺伝子の起源とその進化に焦点を合わせた。しかし、これらの遺伝子の起源を推定するために、これら遺伝子そのものの配列を利用することには問題がある。これらの遺伝子は、明らかに正の自然選択を受けて進化してきているので、一定の進化速度で進化してきているとは考え難いからである。 この矛盾を解決するため、私達は、この領域に存在する反復配列LINEに注目した。実は、BとC遺伝子はゲノム断片の重複により生成されたことが既に分かっており、同様なことはMICAとMICBについても確認されている。従って、問題はこれらの重複或いは分岐が何時起こったかということである。つまり、これらの分岐年代を推定するために、遺伝子そのものではなく、重複断片に同じく存在するLINE配列を利用したのである。これらのLINE配列は完全なものではなく断片配列であり、従って中立的な進化を遂げてきていると考えられる。 分岐年代を推定するには、これらLINE配列の進化速度を推定しなければならないが、私達はヒトとチンパンジーの分岐年代が540万年前であることを利用し、その進化速度を求めた。もちろん、使用したLINE配列は互いにパラロガス或いはオルソロガスであることを確認している。この結果、BとC遺伝子は2,500万年前、MICAとMICB遺伝子は1,600年前にそれぞれ分岐したと推定された。これらの結果は、MHC遺伝子の研究に重要な貢献をもたらすと期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] International Human Genome Sequencing Consortium: "Initial sequencing and analysis of the human genome"Nature. 409. 860-921 (2001)
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[Publications] Kunihiro, S., Kawanishi, Y., Sano, M., Naito, K., Matsuura, S., Tateno, Y., Gojobori, T., Yamagata, Y., Abe, K., Machida, M.: "A PCR-based method for cloning novel members of a gene family using a combination of degenerate and inhibitory primers"Gene. 289. 177-184 (2002)
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[Publications] Kulski JK, Martinez P, Longman-Jacobsen N, Wang W, Williamson J, Dawkins RL, Shiina T, Naruse T, Inoko H: "THE association between HLA-A alleles and an Alu dimorphism near HLA-G"J Mol Evol.. 53. 114-123 (2001)
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[Publications] Abi-Rached L, Gilles A, Shiina T, Pontarotti P, Inoko H: "Evidence of en bloc duplication in vertebrate genomes"Nature Genetics. 31. 100-105 (2002)
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[Publications] Suemizu H, Radosavljevic M, Kimura M, Sadahiro S, Yoshimura S, Bahram S, Inoko H: "A basolateral sorting motif in the MICA cytoplasmic tail"PNAS. 99. 2971-2976 (2002)
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[Publications] Kulski J.K, Shiina T, Anzai T, Kohara S, Inoko H: "Comparative genomic analysis of the MHC : the evolution of class I duplication blocks diversity and complexity from shark to man"Immunological Reviews. 190. 95-122 (2002)