2001 Fiscal Year Annual Research Report
動的スケーリング理論を用いたAFMによる電気めっき薄膜の成長機構に関する研究
Project/Area Number |
13650029
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
斉藤 正敏 琉球大学, 工学部, 教授 (00284951)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押川 渡 琉球大学, 工学部, 助手 (80224228)
|
Keywords | 動的スケーリング / 表面成長 / スケーリング指数 / 電析 / 確率論的微分方程式 / ニッケル |
Research Abstract |
本年度は、直流電流及びパルス電流によるニッケル多結晶基板上へのニッケル電析を行い、以下の結果を得た。 1.直流電析によるニッケル表面成長の動的スケーリング 電流密度2mA/cm^2で成長を行い、AFMを用いた表面観察から動的スケーリング指数の決定、X線回折及び電子線回折によりニッケルの優先成長方位を決定した。多結晶ニッケル基板上に成長したニッケル薄膜は、family-vicsec関数に従うスケーリング性を示し、荒さ指数α=0.96、成長指数β=0.78であった。これらの値は、成長を記述する確率論的微分方程式から得られるいずれのモデル値とも一致せず、特にβ>1/2(理論値は1/2以下)というanomalousな値であった。ニッケルの成長方位が(111)と(200)であることから、Diffusion biasの存在が示唆され、β>1/2であることの物理的意味が説明された。 2.パルス電流によるニッケル表面成長の動的スケーリング 電流on時間2msec、電流off時間8msec、ピーク電流10mA、平均電流密度2mA/cm^2で成長を行い、AFMを用いた表面観察からスケーリング指数の決定、X線回折によりニッケルの優先成長方位を決定した。多結晶ニッケル基板上に成長したニッケル薄膜のスケーリング指数は、α=0.96、β=0.65であった。これらの値も、確率論的微分方程式から得られるモデル値と一致せず、ニッケルの成長方位が直流電流の場合と異なり、(111),(200),(220),(311)であることから、βの減少が説明された。いずれの場合もα〜1であり、ニッケルイオンがある程度拡散長を持ち、移動していることが判明した。1と2の結果は、J. Electrochem. Soc. 及びJ. Phy. Chem. Solidに掲載される。 3.anomalous scaling関数による解析 β>1/2というミステリを解決するために、anomalous scaling関数による解析を行い、パルス電流によるニッケル表面成長のスケーリングに関しては、局所荒さ指数ζ_loc=1.0、全域荒さ指数ζ=2.7、動力学的指数z=4.1という値を得た。これは、ピラミッド的なマウンド成長における理論値と一致し、AFM像のもマウンド形状も類似であることが判明した。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] M.Saitou, W.Oshikawa, M.Mori, A.Makabe: "Surfase Roughening in the Growth of Direct Current or Pulse Current Electrodeposited Nickel Thin Films"J. Electrochem. Soc.. 148. C780-C783 (2001)
-
[Publications] M.Saitou, W.Oshikawa, A.Makabe: "Characterization of electrodeposited nickel film surfaces using atomic force microscopy"J. Phys. Chem. Solids. (to be published). (2002)
-
[Publications] 斉藤正敏, 真壁朝宏: "パルス電析により作成したニッケル薄膜の表面ラフニング"2001年日本機械学会学術講演論文集. 503-504 (2001)