2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650030
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小林 中 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (30271373)
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Keywords | 電界イオン化 / スピン偏極イオン / 運動エネルギー分布 / 非占有状態密度 / ヘリウムイオン / 表面 |
Research Abstract |
本研究の目的は、物質科学の分野で強力なプローブ粒子になり得ると期待されるスピン偏極ヘリウムイオンに着目し、スピン偏極度の極めて高いヘリウムイオンビームを効率良く生成する技術を確立することにある。そのために、従来のプラズマあるいは光励起過程からの生成法とは全く異なる視点から、電界イオン化過程を利用した手法を提案し、その実験的な検証を行う。そこで、これまで製作と改良を進めて来たイオン源装置を更に機能的に改善するために、イオン源部分および生成イオンの検出測定系の整備を行った。 (1)ニッケル試料針上でヘリウム原子を電界イオン化させる条件の検討 これまでは、タングステン試料針上でアルゴン原子を電界イオン化させる試験的な実験を通して、イオン化条件及び速度選別器の動作確認を行って来た。このタングステン/アルゴンの組み合わせに対しては、イオン化条件の確認はほぼ達成出来た。より厳しい条件が必要なヘリウム/ニッケルの組み合わせにも着手したが、確実に原子像を観測できる条件を押さえるまでには至らなかった。これは、ニッケル探針の電解研磨による製作が不安定であり、再現性に問題が有るためである。引き続き、電解研磨条件の絞り込みを進めている。 (2)イオン源用真空チャンバーの作製 これまで使用して来たイオン源用真空チャンバーに取り付けてあるFIM像観察用のプローブホール付きマイクロチャンネルプレート(MCP)の有効径は27φと非常に小さく、イオンの生成位置の特定が困難であった。そこで、MCPを有効径40φで、プローブホールを持たないものに変更した。プローブホールはMCPの背面に取り付けたミラーに設けることで、生成したイオンをウィーンフィルターに導入することが可能である。この新しい真空チャンバーは、設計と製作を経て平成14年度2月中旬に研究室に搬入された。現在、排気系の調整とMCPのエイジングを終えてFIM像の観察を開始したところである。ベース圧力はノンベークでも10^<-8>Torr台に容易に入り、基本的な動作は設計通りで良好である。 来年度は、イオンの計測システムを装備することにより、電界放射イオンの運動エネルギースペクトルの測定を是非とも実現させたい。
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