2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650032
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
大川 春樹 工学院大学, 工学部, 講師 (50221122)
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Keywords | 表面プラズモン / ブリュースター角顕微鏡 / 自己組織化単分子膜 / J会合体 / ヘミシアニン / 光第2高調波発生 / アルカンチオール |
Research Abstract |
本年度は、色素薄膜の構造を解析するための光学測定装置(表面プラズモン共鳴測定・ブリュースター角顕微鏡)を組み立てた。次に機能性色素材料として、長鎖アルカンチオール側鎖をもつ二種のヘミシアニン色素11,11'-ジチオ-ジ[1-ウンデシル-4'-(4"-ジメチルアミノスチリル)ピリジニウムブロミド(DMHA)および11,11'-ジチオ-ジ[1-ウンデシル-4'-(4"-ジブチルアミノスチリル)ピリジニウムブロミド(DBHA)を合成しその自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer,SAM)を金蒸着膜上に構築した。その薄膜の構造について、組み立てた表面プラズモン共鳴測定を用いて調べた。メチル置換体では、色素間の相互作用が大きく、SAMができた後もその上に色素の堆積が観察された。これらのSAMの反射スペクトルには、色素分子単体の吸収だけが観察されたことから、バルク状態とは異なり色素が無会合の状態で存在していることが明らかとなった。また反射強度から、メチル置換体(DMHA)のパッキングは、ブチル置換体(DBHA)より密であることがわかった。一方、光第2高調波発生(Second Harmonic Generation)により、色素分子の配向について調べた。DBHAのSAM膜の2次非線形光学定数X^<(2)>値は、DMHAよりも大きくなった。このことから、DBHAでは、色素分子の吸着量は少ないが、色素分子の配向は良いことがわかった。これらの色素分子において、2種の相互作用(色素間の静電相互作用・メチレン鎖間のファンデルワールス相互作用)が考えられるが、置換基の大きいDBHAでは置換基間の立体障害により吸着量は小さくなるが、色素間の相互作用も小さくなりファンデルワールス相互作用によりその配向性が向上していると推測できた。
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