2003 Fiscal Year Annual Research Report
広い波長領域で高分解能・高感度イメージングの可能な開口型近接場光学顕微鏡の開発
Project/Area Number |
13650050
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
穂坂 紀子 (財)神奈川科学技術アカデミー, 光科学重点研究室・近接場光学グループ, 研究員 (40321913)
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Keywords | 近接場光学顕微鏡 / 高分解能蛍光イメージング |
Research Abstract |
生体細胞やDNAの機能観察において、発光体の修飾による蛍光観察は必須技術となっており、広い波長領域で高分解能・高感度の顕微蛍光観察装置の開発は大きな期待が寄せられている。そこで、これまで紫外領域〜可視領域で高感度・高分解能蛍光イメージングの可能な開口プローブ型近接場光学顕微鏡の実現を目的とした研究を行ってきた。 本年度は、可視領域でのさらなる高分解能化を目指した研究を行った。またこれまでの研究で得られた結果をFDTD法による計算機シミュレーションの結果と比較した。 光源としてHe-Neレーザ(波長633nm)、固体グリーンレーザ(波長532nm)、バイオレットレーザ(波長405nm)を用い、試料には単一色素分子(Cy5.5、Rhodamine)、量子ドットビーズ(CdSe)を用いた。金被覆の2段テーパ型プローブを用いて単一色素分子の近接場蛍光イメージングを行った結果、波長532nmで11nmという高い空間分解能を達成した。これは以前に得られている波長633nmでの8nmの空間分解能と並び開口型近接場光学顕微鏡で達成し得た最高空間分解能であるといえる。又、コントラストは明瞭でないものの、量子ドットを用いて波長405nmでも26nmの空間分解能を得ることに成功した。 得られた空間分解能は従来考えられていた達成可能な分解能(30〜50nm)にくらべ非常に高い。そこで、FDTD法を用いてプローブ開口直下で得られる電場強度分布を計算し、得られる空間分解能を見積った。その波長依存性はプローブ被覆金属の金(実金属として計算を行った)のskin-depthの波長依存性と同様な傾向を示し、波長532nm、633nmでは分解能はほぼ同じで、開口の大きさ程度、又、波長405nmでは分解能は波長532nm、633nmのそれにくらべ10〜20nm程度低いことがわかった。これらの結果は実験結果と矛盾しない。
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