2002 Fiscal Year Annual Research Report
波形計測によるX線半導体検出器の高精度検出時刻測定
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13650052
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 吉秀 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70221215)
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Keywords | コインシデンス / 透過型電子顕微鏡 / 半導体X線検出器 / 波形計測 / 波形推定 / 検出時刻精度 / SDD X線検出器 |
Research Abstract |
電子顕微鏡において、試料を透過して原子の内殻電子を励起した透過電子と、この原子より発生した特性X線とを同時刻検出(コインシデンス検出)することで、特定元素のみの像を得る事ができる。このとき、損失エネルギーのみでは識別できず、バックグラウンドとなる電子を排除する事ができるため,極微量元素の分布を原子レベルで観察できる。このコインシデンス電子顕微鏡において、最も必要とされる要素が検出時刻精度の向上である。X線の検出には半導体検出器が用いられているが、X線による高速電子の発生位置により検出信号波形が変化してしまうため、ローパスフィルターによる波形整形がおこなわれ、この事により検出時刻精度が悪くなってしまう。 そこで、検出時刻精度を改善する方法として、波形そのものを記録して、その波形より検出時刻を推定する波形計測法を提案した。前年度の研究結果として、10ns間隔で検出信号をサンプリングし、オフラインで波形推定を行うシステムで、従来110nsあった時間揺らぎが、85nsまで抑える事に成功した。本年度の成果としては、1.直流除去型専用プリアンプを作製し、検出器自体のノイズレベル0.2mVに迫る0.3mVまで下げる事ができた。2.オンラインシステムを構築すべく、100MHのサンプリング及び同時刻検出決定回路をFPGAを用いて試作し、その動作を確認した。3.試作したシステムで、透過電子との検出時間差を計測し、75nsまで時刻精度を向上することができた。さらに、検討の結果、この時間揺らぎは検出器自体のノイズレベルによるものである事が判明し、立ち上がり波形の揺らぎには影響されない事がわかった。 今後は、最近開発された低雑音高速応答のSDD(Silicon Drift Detector)を用いて、ナノ秒領域にせまる時間精度を目指したい。
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