Research Abstract |
マイクロマシン技術は,MEMSなどフォトリソグラフィを基礎にして発展してきた.これらの技術は,ナノからサブ・ミクロン加工ができるが,形状創成が2〜2.5次元まで,また対象がシリコン材料に限定されるため,適用範囲が制限されている.金属,セラミックスやガラスなどに代表される多様な工業材料の微細形状を創成することから,これまでのコンベンションナル,ノン・コンベンションナル機械加工がメゾーミクロンのスケールに適用できる学問体系の確立が求められている.本研究は,超精密・超微細加工用多機能・複合加工システムとその中核技術の研究関発を主目的とする. 開発したシステムの本体は,X,Y,Z,Cの4軸NC制御された卓上(500mm×500mm×500mm)マニュファクチャリングシステムで,0.1μm位置決め精度を有する.モジュール化された主軸アタッチメントを交換して,切削(Cutting/Milling),研削(Grinding),放電(EDM),電解(ECM)およびレーザービーム(LBM)の5つの加工プロセスを1台の機械上で実現できる.1台の機械に多機能を付与することにより,微細加工に重要と思われる加工原点を変動すること無く,粗加工から仕上げ加工までの作業を1台の機上で高精度で行うことができる.また従来の工作機械のように複数台の機械を必要とせず,エネルギー消費やコスト,スペースの点で優れたものとなっている.本年度には,すでにシステムの設計・開発・組立が終了し,レーザービーム加工機能を除くすべての加工機能を実装した.Feasibility studyにおいては,CAD/CAW/CAE等のITを援用して,複雑な形状創成に成功した.さらにアプリケーションとして,マイクロ部品の典型例であるマイクロ球面/非球面レンズ金型の製作を,マイクロ・EDM(electrical discharge machining)加工により行った.実験では,金型材として剛性や耐久度の点で優れるが,難削材であり切削が困難である超硬合金金型材を加工物とし,先端を球面に加工した銅タングステン電極を使って,マイクロ・EDMによる形状転写加工を行った.加工の過程で工具(電極)摩耗が原因で,高精度の形状創成が困難であった.これは,微細な箇所にアクセスするため小さな工具を使用したことに起因するもので,マイクロマシンニングで共通した問題である.本研究,本システムの多機能を活用して工具を机上で周期的に自動形状修正する手法を提案し,高い形状転写精度を実現した.
|