2001 Fiscal Year Annual Research Report
摩擦力顕微鏡機構とアルカリエッチングを併用した極微細構造形成法に関する研究
Project/Area Number |
13650112
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森田 昇 千葉大学, 工学部, 助教授 (30239660)
|
Keywords | 摩擦力顕微鏡 / アルカリエッチング / マイクロ加工 / カンチレバー / 加工変質層 / エッチングマスク |
Research Abstract |
ナノメータスケールの機械加工における物理化学的な作用を理解することを目的として,摩擦力顕微鏡(FFM)機構を用いた極微細な機械加工実験を行った.限定された条件下で実験を進める過程で,単結晶シリコン表面の極微細加工後に濃度の異なる水酸化カリウム(KOH)水溶液等のアルカリ水溶液でエッチングを行うと,加工領域がエッチングされずにマスクとして作用する場合(マスキング効果)と逆にエッチングを加速する場合(エッチング促進効果)があることを新たに発見した.すなわち,水溶液濃度の調整により,単結晶シリコン表面に凹または凸の3次元微細構造がマスクレスで実現できる可能性を見出した. この新しい現象に着目し,FFMによる機械加工の条件ならびにエッチング液としての各種アルカリ水溶液濃度・温度を最適化することで,新しいナノメータ構造形成技術,すなわち3次元ナノファブリケーション技術を確立することを目標とした.これを実現するため,上述のマスキング効果とエッチング促進効果の基礎特性およびそのメカニズムを明らかにした.具体的には,加工速度,加工力,加工雰囲気などのFFM極微細加工の条件,ならびにアルカリ水溶液濃度・温度,エッチング時間などのエッチング条件がマスキング効果とエッチング促進効果に及ぼす影響を明らかにした.その結果,FFM加工領域に形成される非晶質層と転位層が,相反する2つの化学的効果の原因となっていることがわかった.第2年度では,この新技術を3次元ナノファブリケーション技術として利用し,マイクロマシンなど極微細構造の新たなマスクレス加工技術への応用化を図る予定である.
|