2002 Fiscal Year Annual Research Report
摩擦力顕微鏡機構とアルカリエッチングを併用した極微細構造形成法に関する研究
Project/Area Number |
13650112
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Research Institution | Toyama university |
Principal Investigator |
森田 昇 富山大学, 工学部, 教授 (30239660)
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Keywords | 摩擦力顕微鏡 / 単結晶シリコン / アルカリエッチング / 加工用カンチレバー / 3次元微細加工 / 加工変質層 / 垂直荷重 / 走査線送り量 |
Research Abstract |
摩擦力顕微鏡(FFM)機構を利用して極微細加工した単結晶シリコンの(100)面をKOH水溶液でエッチング処理すると,加工部に強いマスク作用が発現し,凸状構造が残留形成される.本研究ではこの現象に着目し,マスク作用のメカニズムを解明するとともに,これを利用することで単結晶シリコン表面に極微細構造を形成する方法について検討した.また,加工条件を制御することでこのマスク作用の強さの変化させ,この技術を応用して3次元微細構造の作製を試みた. FFM加工部表面層を透過型電子顕微鏡,顕微レーザラマン分光法などの各種表面分析法により構造分析を行った.その結果,加工表面層は2層構造になっており最表層には結晶性の低い酸化層,その直下に転位生成層が存在することがわかった.これより,FFM加工領域のマスキング効果は,KOH水溶液に耐食性のある結晶性の低い酸化層に起因し,ポリシング面とのエッチングレートの差に起因して生じる.一方,エッチング促進作用はKOHに対して弱い層,すなわち,転位生成層に起因して生じることを明らかにした.さらに,超音波付加によるエッチング処理を行うことによって,エッチング処理後の表面あらさとエッチングむらが改善され,高精細な極微細構造の形成が可能であった.また,FFM加工条件を変化させ実験を行ったところ,垂直荷重および走査線送り量を制御することで,加工部のマスク作用の強さが変化することがわかった.これを利用することによって高さを変化させた3次元極微細構造の作製が可能であった.今後,加工用カンチレバーの高精細化,加工条件の最適化を行うことにより,極微細構造のさらなる高精度化について研究を行う.
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