2002 Fiscal Year Annual Research Report
超純水による加工現象の第一原理分子動力学シミュレーション
Project/Area Number |
13650117
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 英和 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80170463)
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Keywords | 第一原理分子動力学シミュレーション / 超純水電解加工法 / シリコン単結晶表面 / アルミニウム表面 / 水酸化物イオン / 水素イオン / エッチング / 酸化反応 |
Research Abstract |
超純水のみによる電気化学的加工現象の、第一原理分子動力学シミュレーションを行った。密度汎関数理論に基づき、擬ポテンシャル法、平面波展開法を用いて電子状態を計算し、各原子に働く力を求めた後、運動方程式に従って各原子を移動させることにより最安定原子配置を求めた。本年度は、Al(001)表面の反応について検討した。超純水のみによる電気化学的加工法では、触媒材料を用いて超純水中の水分子を分解し、生成されたOH^-イオンが陽極である被加工物表面に到達した後、電子を陽極表面に渡し、中性OHが生成される。そこで、原子数24個から成るAl(001)表面モデルを用いて、表面に中性OHを最大10個まで作用させたが、Al表面原子が加工されることはなかった。次に被加工物であるAlを陰極とした場合の表面反応について検討した。陰極表面にはH^+イオンが供給されるが、H^+イオンは陰極表面から電子を受け取り、中性Hとなる。そこで、Al(001)表面原子に中性H原子を作用させると、Al表面第1層原子間の結合強度が低下することがわかった。また、Al(001)表面上の水分子に中性Hを作用させたところ、水素分子とOHが生成し、OHはAl(001)表面原子と反応して、表面第1層-第2層原子間の結合(バックボンド)強度が低下した。そこで、水素終端化Al(001)表面原子に1個のOHと3個のHを作用させると、Al表面原子がAlH_2(OH)_2分子として除去加工されることがわかった。以上のシミュレーション結果と昨年度行った陰極Si(001)表面の反応素過程シミュレーション結果から、陽極としては加工できないSiやAlが、陰極とすることによって加工が可能となることが予測できた。また、この予測は実証実験によっても確認することができた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 森 勇藏, 後藤英和, 広瀬喜久治, 小畠厳貴, 當間 康, 西村丈人: "超純水のみによる電気化学的加工法の研究-陰極表面における加工現象-"精密工学会誌. 68,9. 1241-1245 (2002)
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[Publications] 後藤英和, 広瀬喜久治, 森 勇藏, 當間 康, 小畠厳貴, 森田健一他: "Si(001)表面の超純水によるエッチング現象の第一原理計算"日本物理学会第57回年次大会講演概要集. 57,1. 844-844 (2002)
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[Publications] Y.Mori, K.Hirose, K.Yamauchi, H.Goto, K.Yamamura, Y.Sano: "Ultra-Precision Machining based on Physics and Chemistry"Proceedings of 3rd Workshop on Physical Chemistry of Wet Etching of Silicon. 10-26 (2002)
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[Publications] 森 勇藏, 後藤英和, 広瀬喜久治, 當間 康, 小畠厳貴他: "超純水のみによる電気化学的加工法の研究"2003年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集. (発表予定). (2003)