2002 Fiscal Year Annual Research Report
耐遠心力性を付与した超高速主軸対応工具把持メカニズムの開発
Project/Area Number |
13650131
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
清水 伸二 上智大学, 理工学部, 教授 (70146801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 治久 上智大学, 理工学部, 助手 (40276514)
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Keywords | 高速主軸 / 工具把持メカニズム / 耐遠心力性 / 高精度 / 高剛性 / くさび機構 / 有限要素法解析 / 接触解析 |
Research Abstract |
高精度・高能率な機械加工を実現するために,工作機械の高速化が進められてきている.この高速切削技術においては,主軸高速回転に対応した高性能な工具把持メカニズムの開発が不可欠である.主軸高速回転時には,大きな遠心力が作用するためにツールホルダと主軸との結合状態が悪くなり,工具の把持精度ならびに把持剛性が劣化する.このため,近年,フランジ面とテーパ面の2面が同時に結合する2面拘束形ツールインタフェースが提案されてきているが,対応可能な主軸回転数に限界があるため,主軸回転数のさらなる高速化における阻害要因のひとつとなっている.そこで本研究では,この課題を解決するために,超高速回転時における遠心力の作用を工具把持力の増力に生かし,工具を高精度・高剛性に把持し続けることのできる新たな工具把持メカニズムの開発を試みてきた.本年度は,昨年度に考案した超高速主軸対応工具把持メカニズムをもとに,設計の改良を行うことにより,構造を大幅に簡素化し,製作を容易にするとともに,工具の位置決めのためのツールストッパや遠心補正くさびの駆動精度を高める案内機構などを組み込んだ.さらに,その工具把持特性を理論解析および有限要素法解析を行って評価した.本解析においては構成部品同士の接触を考慮した解析を行い,引込み力に対する工具把持力の増力比を求めるとともに,遠心力補正効果を発揮するための設計条件を定めた.その結果,各構成要素間の摩擦係数,遠心力補正くさびのくさび角および重量を適切に設定することにより,従来のツールチャックと同程度の工具把持力を実現でき,かつ,主軸回転時の工具把持力の低下を防止できることを確認できた.本年度までの研究成果として,実用化が可能な超高速主軸対応工具把持メカニズムを具体化することができたと言える.
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