2002 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質ゴムのすべり(回転)を伴うスクイズ運動下における潤滑特性
Project/Area Number |
13650148
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
金子 覚 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (90161174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田浦 裕生 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (20334691)
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Keywords | 多孔質体ゴム / 正弦波スクイズ運動 / 回転(すべり)運動 / 3要素粘弾性体モデル / 液膜圧力 / 液膜反力 / 摩擦トルク |
Research Abstract |
本研究はすべり(回転)を伴うスクイズ運動下における多孔質ゴムの潤滑特性を実験的・理論的に解析することを目的として行われた. 本年度は以下の点に着目して研究を行った. (1)実験装置の改良:多孔質体ブロックを支持する軸の回転振れを抑制し,回転に伴うすきま変動を極力小さくすることにより回転運動時の測定精度を向上した. (2)数値解析:円柱形多孔質ゴムブロックに回転(すべり)運動と正弦波スクイズ運動を同時に加えた時の,剛体平板(静止面)と多孔質体表面(しゅう動面)間に形成された流体膜の潤滑特性(液膜圧力,液膜反力,摩擦トルク)を算出する計算コードを作成した.その際,流体膜圧力を支配する方程式として,流体膜の慣性力を考慮に入れた運動方程式と連続の式を,また多孔質体内部の圧力支配方程式として,流体の遠心力とダルシー則を考慮に入れた運動方程式と連続の式を,それぞれ用いた.さらに多孔質体表面に作用する液膜のせん断力と多孔質体内部の液体の圧力よる多孔質体の変形を求めるため,多孔質体ブロックを軸対称粘弾性体モデル(バネとダシュポットからなる3要素線形モデル)で近似した. 以下に本年度行った研究成果をまとめる. (1)多孔質体ブロックにスクイズ運動のみが加えられた場合,スクイズ周波数および振幅が大きくなると,また時間平均すきまが小さくなると,液膜圧力ならびに液膜反力の時間変化に伴う変動のピークが大きくなる.これらの傾向はSolidゴム(非多孔質ゴム)の場合にも得られた.さらに,実験結果は数値計算結果と定性的,定量的によく一致した. (2)スクイズ周波数一定のもとで多孔質体ブロックに回転(すべり運動)が与えられた場合,液膜圧力および液膜反力は全体的に負側へシフトする.しかし,スクイズ運動に伴う液膜圧力によって生ずる多孔質体表面(しゅう動面)の変形量が大きくなると,液膜圧力およぴ液膜反力の正のピーク値の負側へのシフト量はあまり変化しないが,負のピークの負側へのシフト量は小さくなる.この傾向は,スクイズ運動による液膜圧力が大きくなる条件すなわちスクイズ周波数および振幅が大きく,時間平均すきまが小さい場合,また,液体の多孔質体内部への移動によって液膜圧力が低下しやすい多孔質体ゴムよりも液体の移動を伴わないSolidゴムの方がより顕著になる.これらの結果は,実験と計算で定性的に一致した. (3)しゅう動面の摩擦トルクは回転速度とともに増加する.スクイズ運動が加えられた場合,摩擦トルクはスクイズ周波数とともに変動する.
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