高性能レイノルズ応力方程式モデルの構築に関する研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13650173
• Research Institution: Shizuoka University
• Principal Investigator: 島 信行 静岡大学, 工学部, 教授 (40119128)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 岡本 正芳 静岡大学, 工学部, 助手 (90293604)
• Keywords: 乱流モデル / 応力方程式モデル / 低レイノルズ数型乱流モデル / 同心環内乱流 / 系回転乱流

Research Abstract

本研究の目的は、研究代表者が97年に提案した、壁面反射再分配項を含まない低レイノルズ数型応力方程式モデルをベースとして、多種多様な乱流を包括的に予測できる乱流モデルを構築することである。今年度においては、同心環内乱流と3種の系回転チャネル乱流に対する97年モデルの検証を行うとともに、新たなモデルの構築を進めた。同心環流れについては、比較の対象となるデータが十分ではないので、直接数値シミュレーション(DNS)とラージ・エディ・シミュレーション(LES)を実行し、データベースを整備したうえで97年モデルの検証を行った。この同心環流に対するDNSおよびLESによる研究の成果を公表した。スパン方向、流れ方向および壁面垂直方向の軸まわりに回転するチャネル流れに関しては、モデル検証の結果を公表した。さらに、従来より広いパラメータ範囲のDNSを実行し、今後のモデル検証のためのデータベースを構築した。平成13,14年度およびそれ以前の研究によって、97年モデルは壁面反射再分配項を用いずに壁まで積分できる応力方程式モデルとして一定の有用性をもつモデルであると言える。しかし、非定常流における流量変化に対する乱れの応答、種々の流れにおける低レイノルズ数効果や層流化の予測において、モデルは弱点を現した。より高い性能を求めて、新たなモデルの開発に着手した。97年モデルは、チャネル流や平板境界層の壁面近傍遷移層における垂直応力の著しい非等方性を忠実には再現しない。これが、上述の弱点につながってているものと考えられる。現在、壁面距離を用いずに壁面まで適用でき、かつ遷移層における非等方性を再現するモデルの開発を進め、チャネル流れ、吹き出し・吸い込みを伴うチャネル流れ、曲がりチャネル流れ、回転円管内流れ、回転チャネル流れ、同心環内流れにおいて好結果を得ている。さらに範囲を広げた検証を経て、モデルを提案する予定である。

Research Products

• [Publications] 島 信行: "スパン方向、流れ方向および壁垂直方向に回転するチャネル乱流の数値予測"日本機械学会論文集(B編). 69巻678号. 137-144 (2003)
• [Publications] M.Okamoto: "Direct Numerical and Large Eddy Simulations of Turbulent Flows Through Concentric Annuli"Engineering Turbulence Modelling and Experiments. Vol.5. 219-228 (2002)
• [Publications] 島 信行: "数値流体力学ハンドブック、分担執筆:4.3節 応力方程式乱流モデル"丸善. 736 (2003)