Research Abstract |
微粉末は付着力によって静止状態において空隙率が大きな弱い構造を形成できる.この状態に外部から荷重が作用すると,その大部分は空隙の空気圧の増加によって支えられる.粉末が入っている容器が細い通路で低圧部に通じていると,気流が発生し,微粉末はこの気流に引き込まれて低圧部に噴出する.これをフラッシング現象と呼ぶ. 本研究では,空隙の圧力上昇を引き起こさせるための外的要因として,粉体を上部から自由落下させる際に粉面に及ぼす衝撃力を用いた.また,粉体が自由落下する際に周囲の空気を巻き込み,空隙率が上昇し,フラッシングが起きやすい状態になると考えた. 粉体を自由落下させる容器,底部に細孔を備えたフラッシング発生容器,フラッシング発生容器からの粉体を回収する容器の3段からなる実験装置を製作した.微粉末には小麦粉を用いた.フラッシング現象が発生する条件を求めるため,細孔近傍の空気圧,粉体圧,自由落下粉体の量,フラッシング量,フラッシング容器内粉体の空隙率を測定した.実験により,実際にフラッシング現象を再現させることができた.また,測定データから空気圧,空隙率,自由落下粉体量,フラッシング量,細孔径の関係を明らかにすることができた.その結果,フラッシング現象が発生し停止するまでに,空気圧は大幅に減少しているのに対して,空隙率の変化はあまりない.また,粉面に与える衝撃力が小さいと,空気圧が上昇せずフラッシング現象は発生しない.つまり,ある程度以上の空隙率を保持していても,空気圧が低ければフラッシング現象は発生せず,空気圧に依存することがわかった. 今後,引き続き実験を行い,粉体圧の測定方法を改良し,今回の成果に基づいてフラッシング現象を連続して発生させるシステムを研究し,同時に現象の定式化も進める.
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