2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650199
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
関 眞佐子 関西大学, 工学部, 助教授 (80150225)
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Keywords | 白血球 / 粘着 / ローリング / 応力 / 血液流れ / 微小血管 |
Research Abstract |
本研究は、流体力学的観点から血球の凝集・粘着現象を取り扱い、それらが微小血管内の血液流れに与える影響を調べ、その機序を明らかにすることを目的としている。本年度は、特に白血球の粘着現象に着目して、さまざまな状態の白血球の細胞膜に作用する応力分布を、微視的スケールで調べた。また、内皮細胞表面の糖鎖層についても検討し、その存在が微小血管流れや血球に働く応力に与える影響について解析した。 白血球は通常生体内の血管中を循環しているが、病原体や細菌等の異物の進入といった種々の条件下で、血管外に出て異物を攻撃する重要な免疫作用を果たす。白血球が血管内から血管外に出るのは、直径8-12μm程度の細い静脈(細静脈)である。本年度は、白血球がこのように細い血管の壁に最初に粘着する前後に着目して、(1)微小血管内に自由に浮遊している状態、(2)血管壁に粘着直後の状態、および(3)血管壁上のローリングの状態、のそれぞれについて白血球表面および内皮細胞表面の応力分布を調べた。(1)〜(3)について、白血球周りの流れ場を流体力学の基礎方程式に基づいて数値解析し、血液流れが血球と血管壁に及ぼす応力を求め、応力の大きさや分布、その変動について定量的に評価した。解析の結果、生体内の細静脈で、白血球膜表面に作用するせん断応力の最大値は、(1)の場合10dyn/cm2程度、(2)および(3)の場合100 dyn/cm^2程度で、それぞれの場合に内皮細胞膜表面に作用するせん断応力も同程度であることが分かった。また、(1)の場合応力の時間変動が顕著であるのに対して、(2),(3)の場合は空間変動が大きいことも示された。今回求めた応力分布の特徴は、それぞれの状態の細胞機能と関係していると考えられる。糖鎖層は血管抵抗を増加させ、血球に働く応力の大きさを上昇させるが、その変動の大きさを減少させる可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sugihara-Seki, Masako: "Blood Flow and Permeability in Microvessels."Fluid Dynamics Research. (in press). (2004)
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[Publications] Sugihara-Seki, Masako: "Motion of a Sphere in a Cylindrical Tube Filled with a Brinkman Medium."Fluid Dynamics Research. 34. 59-76 (2004)
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[Publications] Sugihara-Seki, Masako: "The Fluid Shear Stress Distribution on the Membrane of Leukocytes in the Microcirculation."Trans. ASME J.Biomech.Eng.. 125. 628-638 (2003)
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[Publications] Sugihara-Seki, Masako: "Distribution of the Fluid Shear Stress on the Membrane of Leukocytes in Microvessles."Proceedings of the 2003 Summer Bioengineering Conference. (CD). (2003)
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[Publications] Sugihara-Seki, Masako: "Shear Stress Distribution on the Membrane of Leukocytes and the Vascular Endothelium in the Microcirculation."Proceedings of the IEEE EMBS Asian-Pacific Conference on Biomedical Engineering 2003. (CD). (2003)
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[Publications] 関 眞佐子: "糖鎖のある細孔内の物質輸送"日本流体力学会年会2003 講演論文集. 68-69 (2003)