2002 Fiscal Year Annual Research Report
凍結組織の保存・加温過程における氷結晶の再結晶化の時系列ミクロ構造
Project/Area Number |
13650209
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
石黒 博 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (30176177)
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Keywords | 凍結生体組織 / 凍結保護物質 / 保存過程 / 加温過程 / 氷結晶 / 再結晶化 / 共焦点レーザー走査顕微鏡 / 時経列統計的特性 |
Research Abstract |
生体組織の凍結保存や凍結手術と関連する基本現象の一つとして、凍結組織内の微細氷結晶の再結晶化の時系列ミクロ挙動を初めて詳細に調べ、加温速度、一定保持温度、処理水溶液の影響を明らかにした。 平成13年度:急速冷却(冷却速度〜100℃/min,最低到達温度-50℃)後の生体組織(代表的な細胞膜透過型凍結保護物質であるジメチルスルホキシド(DMSO)2.0Mで前処理された新鮮な鶏の胸筋)の緩速加温(加温速度0.1℃/min,1.0℃/min)過程において、1)共焦点レーザー走査顕鏡と蛍光色素を用いた実時間・三次元計測法の初めての適用により、微細な氷結晶や組織細胞の形態の時系列変化を画像計測する方法を確立した。 2)1)の画像データから氷結晶のサイズを定量化し、その頻度分布、平均値、標準但差、氷結晶の個数や総量などの統計的特性の時系列変化を求めるデータ解析方法を礁立した。 平成14年度:前年度に確立した計測・データ解析方法を、さらに、以下の条件に適用した。 1)急速冷却後の組織(DMSOで処理)の一定温度保持(保持温度-14℃,-17℃,-19℃)過程 2)急速冷却後の組織(DMSO未処理)の緩速加温(加温速度0.1℃/min,1.0℃/min)過程 3)急速冷却後の組織(DMSO未処理)の一定温度保持(保持温度-5℃,-14℃)過程 加温過程では、DMSO処理の有無によらず、氷結晶の総数は単調に滅少し、サイズの小さい氷結晶の頻度の滅少と大きいサイズの氷結晶の頻度の増加により、サイズの平均値は増加するが、極大値の後、融解現象が支配的になるため滅少する。氷結晶の総量は、再結晶化の初期の段階で熱的非平衡性の緩和により熱平衡の場合の値に漸近的に増加し、さらなる温度上昇に対してほほ灘平衡の状態に沿って単調滅少する。加温速度の遅い方が、再結晶化現象は盛んに進行する。DMSO処理の場合の方が、温度に対する液相線の変化が緩やかになるため、広い温度範囲に渡って再結晶化が進行する。一方、一定温度保持の場合、時間経過に対して、氷結晶の総量は初期段階での平衝状態の値に漸近的に増加するが、氷結晶のサイズの平均値は増加し続ける。DMSO処理の場合の方がより低温領域の広い温度範囲で再結晶化が進行する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 石黒博, 他2名: "凍結生態組織内の氷結晶の再結晶化の時系列ミクロ挙動"日本機械学会2001年度熱工学講演会講演論文集. No.01-9. 267-268 (2001)
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[Publications] 石黒博, 他2名: "急速凍結された生体組織の加温過程における氷結晶の再結晶化の時系列特性"日本機械学会2002年度年次大会講演論文集. Vol.VI. 13-14 (2002)
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[Publications] 石黒博: "細胞縣濁液や組織細胞の凍結・融解挙動の物理的解析"第49回低温生物工学会年会講演要旨集. (発表予定). (2003)
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[Publications] 石黒博: "細胞縣濁液や組織細胞の凍結・融解挙動の物理的解析"低温生物工学会誌. (発表予定). (2003)
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[Publications] 石黒博, 他2名: "凍結生体組織の加温過程における氷結晶の再結晶化に対する処理用水溶液の影響"日本機械学会2003年度年次大会講演論文集. (発表予定). (2003)