2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650226
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高松 洋 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (20179550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住本 英樹 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (30179303)
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Keywords | 凍結保存 / 凍結障害 / 細胞 / 溶液効果 / 生存率 / 浸透圧変化 / 細胞膜透過率 / 浸透的不活性体積 |
Research Abstract |
細胞の凍結障害に及ぼす電解質溶液の濃縮の影響を明らかにするため,細胞を保持したまま周りのNaCl水溶液の濃度を任意に変えて観察する装置および実験法を考案した.そして,ヒト由来前立腺癌細胞株PC-3を試料として,浸透パラメータの測定および高張液による浸透圧変化を受けた細胞の生存率の測定を行った.現在得られている結果は以下のとおりである. 1.23℃における細胞膜の水に対する透過率は約8x10^<-14>m/Pa/s,浸透に不活性な体積は等張液中の細胞体積の約40%である. 2.高張液へ暴露した後,等張に戻した細胞の生存率は暴露前より低下する. 3.濃度の増減をステップ的に行った場合,生存率はわずかな暴露時間で急に低下し,暴露時間の増加とともに徐々に減少する.また,濃度が高いほど生存率の低下は大きい. 4.細胞の生存率は,濃度の増加速度がある程度小さければ急増した場合より高くなるが,濃度の減少速度には依存しない.したがって,細胞の損傷に重大な影響を及ぼす体積変化速度の限界が存在すると考えられる. 5.細胞は,体積変化に起因する細胞膜の機械的損傷と高濃度電解質による化学的損傷の両方を受け,その程度は濃度と濃度変化速度に依存する. 実験結果をより定量的に評価するためには,テスト部で濃度が一様であることを確実にするとともに実際の濃度変化を測定する必要がある.したがって,濃度測定と装置の改良を行った後、再び同様の実験を行う予定である.
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