2002 Fiscal Year Annual Research Report
表面波制御による液膜流を媒介とした熱および物質輸送の高性能化
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13650232
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
宮良 明男 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (80219823)
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Keywords | 液膜流 / 臭化リチウム水溶液 / 表面波 / 水蒸気吸収 / 熱伝達 / 物質伝達 |
Research Abstract |
本年度は,水および吸収式冷凍機で実際に使用される臭化リチウム水溶液を用いて,鉛直平板面および鉛直円管内面に液膜を形成し,人工的な周期じょう乱を与えてその表面に波を発生させる実験を行い,表面波の運動特性を調べた.臭化リチウム水溶液は,動粘性係数が水の約2倍で,密度が水の約1.6倍であるため,同じレイノルズ数の条件下では,表面波のじょう乱周波数が同じ場合でも速度および波長が水より大きくなる.また,昨年度までに完成させた数値計算プログラムによる計算においても実験と一致する結果が得られた.本研究では,特に空気冷却式吸収器の高性能化を目的としているため管内面液膜流に最適な表面波を形成することが主目的となるが、管内面液膜流表面に形成される波は,曲率の影響と管周方向の三次元的な変化の影響で,平板面上の波より波速が大きくなるという結果が得られた.この点についてはさらに詳細な検討が必要である.数値計算プログラムは,さらに改良が加えられ,臭化リチウムによる水蒸気吸収をシミュレートするために,気液界面において熱移動と物質移動の条件をリンクさせ,界面濃度変化および界面温度変化の計算が可能となった.これによって,表面波が発生した場合,大波の前方の谷部で液膜が薄くなることで,気液界面温度が低くなり,それに起因して臭化リチウム濃度も低くなるため液膜内での水の移動速度が大きくなり,水蒸気吸収が促進されること,大波の頂部では表面温度が高く,濃度勾配も小さくなるため水蒸気吸収量が小さいことを明らかにした.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Akio Miyara, Takehiro Nosoko, Takashi Nagata: "Enhancement of heat and mass transfer by waves on falling liquid film"Proc. 12th International Heat Transfer Conference. Vol.2. 591-596 (2002)
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[Publications] 宮良明男, 家村徹, 島田崇史, 野底武浩, 長田孝志: "表面波制御による流下液膜のガス吸収促進"日本機械学会熱工学講演会講演論文集. No.02-22. 441-442 (2002)
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[Publications] Akio Mitaya, Tomoki Yamamoto, Toru Iemura, Takashi Shimada: "Gas absorption by wavy falling liquid film formed on inner surface of vertical tubes"Proc 6th International Symposium on Experimental and Computational Aerothermodynamics of Internal Flows. 2003年4月(発売予定).
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[Publications] 宮良明男: "鉛直面を流下するLiBr水溶液による水蒸気吸収の数値シミュレーション"第40回日本伝熱シンポジウム講演論文集. 2003年5月(発売予定).