2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650261
|
Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
浦田 喜彦 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (60024329)
|
Keywords | 厚板構造 / 騒音・振動 / 解析 / 実験 / 過渡応答 / 振動数応答 / 粘弾性 / 減衰 |
Research Abstract |
本年度は解析面では主として在来法である有限要素法(FEM,ソフトはANSYS)によって検討した.FEMは固有値解析では実用性は確保できたものの,減衰系で不可欠な強制振動の振動数応答では実用的精度が確保できる要素分割を行うと20点の振動数を計算するのに2時間超の計算時間を必要とし,能率的に作業できるというにはほど遠い状態であった.これに比べ,解析解をベースとした方法では同じ問題が20倍ほどの計算点を含めても20秒ほどですむなどFEMとは著しい差があることを確認した.ただし,解析解を利用した方法は対応できる構造がまだ限定的であり,フレキシビリティの向上という点では課題を残した形になっている. 実験面では無調整型吸振器の効果を確認するための実験を行った.まず,計算結果および測定した厚板の振動モードをもとに無調整型吸振器の効果的取り付け場所などを検討した.吸振器は棒状の慣性体と振動体(厚板)を多数の粘弾性体で結合し,慣性体と振動体の相対変位によって生じる粘弾性体のせん断変形を介してエネルギー消散を図る構造である.当然のことながら,振幅変化の大きい直線に沿って可能な限り長い吸振器を設置するのが効果的である.粘弾性体については天然ゴム,ポリウレタンベースのゲル状物質およびシリコーンゴム等を採用し,慣性体の断面寸法を各種変更しながら打撃による過渡応答測定および周波数応答測定で減衰の効果の大きさを検討した.これは計算上の物質定数では仮想的な設計に陥る可能性があるので,現実の物質と各種寸法との組み合わせによる効果の発現状況を具体的に把握するためである.関与するパラメーターが多いので最適"値"というものをクリアカットに示すことは困難であるが,現状では"パラメーターの適切な範囲"というややあいまいさを導入した概念で検討結果を示している.科研費の研究期間内には達成できなかった課題は残ったが,無調整吸振器という考え方の有効性は基本的に確認できたと考えている.
|