2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650302
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
道下 幸志 静岡大学, 工学部, 助教授 (50239274)
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Keywords | 雷 / 高圧配電線 / 帰還雷撃 / 電界 / 磁界 / 直撃雷 / 雷被害率 / フラッシオーバ率 |
Research Abstract |
高圧配電線の雷被害率を評価するためには、雷サージの発生源である帰還雷撃電流波形を正確に把握する必要がある。帰還雷撃電流パラメータを効率よく収集する際には、観測された電磁界波形から帰還雷撃電流波形を推定する手法が用いられるのが通例である。本研究では、周波数帯域が1kHz程度から10MHz程度の広帯域電界及び磁界センサを作成した。作成した電界及び磁界センサを用いて、多地点で、電界及び磁界の測定を行った。 得られた電界及び磁界波形を用いて帰還雷撃電流波形を推定する際には、到来時間差方式を基本として、補足的な情報として公会法を用いて落雷位置標定を行った。波高値と立上り時間を求める際には、比較的取り扱いが容易な伝送線路モデルを用いた。また、現実的とされるDiendorferモデルを用いて電磁界波形の波尾長と帰還雷撃電流波形の波尾長の相間を求める近似式をシミュレーションにより求め、波尾長の推定に用いた。 夏期雷に関しては、負極雷が大半を占めており、得られた推定手法を用いて、実測された電磁界波形から帰還雷撃電流波形を推定した結果、従来報告されている帰還雷撃電流パラメータとほぼ一致した。しかし、帰還雷撃の前駆現象である雲放電に関しては、従来の報告とは若干異なり、帰還雷撃との発生時間間隔が従来の報告よりも短く、また、その強度も低いという結果が得られた。 得られた雷パラメータを用いて、夏期雷による直撃雷フラッシオーバ率を評価した。フラッシオーバ被害の軽減には、避雷器が最も効果的であり、全柱に避雷器を設置した場合には、フラッシオーバ被害は発生しない。また、避雷器の接地間隔が200m以上の場合には、被害率は耐雷機材が無い場合と殆ど変わらない事も判明した。更に、避雷器の接地間隔が100m程度の場合には、架空地線を付設し、その接地抵抗を低減する事で、被害率が大幅に減少する事が明らかになった。
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