2002 Fiscal Year Annual Research Report
電力ケーブルにおける水トリー劣化抑制に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13650303
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Research Institution | TOYOHASHI UNIVERSITY OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
長尾 雅行 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (30115612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村本 裕二 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70273331)
穂積 直裕 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (30314090)
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Keywords | 電力ケーブル / 水トリー / トリーイング現象 / 空間電荷 / 劣化要因 |
Research Abstract |
本研究では、フィルム試料における水トリーの発生機構並びに高電界電気伝導機構を解明するとともに、電力ケーブル絶縁部の水トリー劣化防止策に対する新しい手法を確立することを目的としている。また今までどこも作製することができなかった貫通水トリー試料の作製に成功し、その高電界電気伝導機構の解明を進めることで水トリー発生および劣化機構が及ぼす電気絶縁の影響に関する基礎的な研究を進めた。 貫通水トリー試料による実験からは、湿度約70%以上で水トリー部は電圧をほとんど分担しないことがわかった。また、充填剤など界面を有する絶縁系では界面が弱点になり、吸湿はその絶縁性を大幅に低下させることがわかった。LDPEとHDPEのブレンド絶縁系では、水トリー累積分布より絶縁破壊に大きく影響する「最大水トリー長」はブレンドしないものが280μm程度であるのに対し、ブレンド量とともに単調に減少し、9.1wt%では180μm程度まで低下した。ポリエチレンは放射状に結晶が成長した球晶構造をなしているが、水トリーは球晶と球晶の間にある非晶質の多い領域に生じることが確認されている。ゆえに、結晶性の高いHDPEをプレンドすることで球晶半径が増大し、電界方向への水トリーの進展が妨げられるとともに、新たに導入されたHDPEとシラン架橋ポリエチレンとの界面に水がトラップされて凝集が起こりにくくなることが耐水トリー性向上の要因と考えられた。耐水トリー性はHDPEブレンド量が9%程度に至るまでブレンド量とともに改善された。加熱変形性及び可とう性の観点から見たHDPEブレンド量には最適値があり、今回検討した範囲を大きく超えることは実用的でないごとから、成形加工が可能な範囲においてHDPEプレンド量を増加させるほど耐水トリー性が向上することが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 西岡幸治: "充填剤配合エポキシ樹脂の交流トリーイング特性に及ぼす吸水の影響"電気学会放電・誘電・絶縁材料共同研究会. DEI-02-64. 25-28 (2002)
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[Publications] M.Nagao: "Effect of Moisture on Treeing Phenomenon in Epoxy Resin with Filter under AC Voltage"2002 IEEE Annual Report CEDIP(02CH3732). 1. 951-954 (2002)