2002 Fiscal Year Annual Research Report
積雪地域におけるポリマー絶縁材料の劣化診断のための漏れ電流測定法の開発
Project/Area Number |
13650324
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Research Institution | AKITA NATIONAL COLLEGE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
長谷川 誠一 秋田工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (00042292)
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Keywords | ポリマー絶縁材料 / 撥水性 / トラック(炭化導電路) / 侵食 / グロー放電 / シンチレーション放電 / 漏れ電流 / 高調波成分 |
Research Abstract |
本研究は近年,屋外電力設備の絶縁材料として適用範囲が拡大してきているシリコーンゴム等のポリマー絶縁材料の劣化診断を漏れ電流の面から行うことを目的として行ったものである。これまでの研究において当地方のような日本海沿岸の積雪地域では,環境による侵害が強くポリマー絶縁材料の耐候性の低下が大きいことが認められている。本研究では,屋外電力設備に使用されるシリコーンゴムやポリカーボネート等のポリマー絶縁材料が自然環境から受ける汚損と湿潤を人工的に与え,表面に電界を加える耐トラッキング性試験を適用した。この試験により材料表面に侵食や炭化を起こし,最終的なトラッキング破壊に至る過程の漏れ電流を測定し,分析を行った。また,低温環境を模擬してフリーザ内においても耐トラッキング性試験を行った。 結果を要約すると,耐トラッキング性試験中にポリマー絶縁材料表面を流れる漏れ電流の変化は,材料表面の放電発生状態と劣化の進展形態によって異なる。 1)材料表面の撥水性が保たれているときは表面にグロー放電が散逸的に発生する。これが下部電極付近に集中するシンチレーション放電に推移するとき,漏れ電流に含まれる第3次〜第9次高調波成分が増大する。これによって放電が破壊につながるシンチレーション放電に変わった事がわかる。 2)ポリカーボネートのような劣化の進展形態がシンチレーション放電発生からトラック(炭化導電路)形成という場合,高調波よりむしろ基本波成分が顕著に増大する。これがトラッキング破壊の前兆となる。 3)シリコーンゴムの場合,シンチレーション放電発生によってトラックは形成されず,材料が分解されて侵食が起こる。侵食が拡大する過程において,もれ電流の高調波成分はやや増加する程度で,ある。この侵食は材料を貫通する極めて危険なもので,このとき漏れ電流は一時中断するのでこれが破壊のシグナルとなる。 4)低温環境においては漏れ電流の大きさは常温よりも小さいにもかかわらず,耐トラッキング性が低下する。このとき微小なグロー放電が頻発し、1〜4kHzのパルス性漏れ電流としてあらわれる。
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Research Products
(2 results)