2001 Fiscal Year Annual Research Report
高分子絶縁フィルムの高電界平等電界下での電界発光現象観測用試料の試作
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13650360
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Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
遠山 和之 沼津工業高等専門学校, 電子制御工学科, 助教授 (40197851)
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Keywords | 高電界 / 無極性高分子フィルム / 損失電流波形観測 / 電界発光 / ポリエチレン / 空間電荷 / 誘電特性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、電力ケーブルの絶縁材料として広く用いられるポリエチレンフィルムの交流高電界下での電界発光現象観測用試料の開発である。従来、電界発光の観測で高電界を得やすい等の理由から針-平板電極系が多く採用されているが、本研究では電界の評価が容易なフィルム試料を用い、これを本研究室で損失電流波形観測用に用いてきたガードフィルムを用いたユニークな構造の3端子電極系試料を改良する方向で開発を進めた点が大きな特徴である。この損失電流波形観測用試料を用いることで同一条件下での実験結果を比較することが可能であり、交流高電界下での電荷の挙動、特に空間電荷効果をより詳細な検討が期待される。この目的を達成する上で、電界発光現象以外の要因による発光をどれだけ徹底的に排除できるかが鍵となった。当初、着色エポキシ樹脂を用いる方法を検討していた。しかし、秋にカナダ国立研究所において行った打ち合わせで、電界発光観測装置の技術的な理由から、直径0.1mmの極めて限られた領域の電界発光現象を観測できる試料を開発する必要性が新たに生じた。そこで、光を完全に遮断する黒色の2枚のフィルムで試料を挟み、エポキシ樹脂で試料全体をモールドする方法を考案した。電界発光現象は、この黒色フィルムの中心に開けられた直径0.1mmの極めて小さな穴から観測する。黒色フィルムを用いることは試料構造を複雑にし、フィルム間にボイドが生じやすい。このため高電界下で部分放電の発生が懸念された。この部分放電を排除するため、エポキシ樹脂モールドの際の真空脱気条件を詳細に調べ、また、試料作製用冶具の改良も行った。これにより、現時点で室温において80kV/mmまで安定して測定できる試料を開発している。また、この黒色フィルムが試料作製時に不用意に生じるフィルム表面のキズを保護する役目も果たすように工夫した。現在、この手法により、150kV/mm程度の高電界まで安定した測定を行うことが可能な試料を目指しており、来年度、夏にカナダ国立研究所において本試料を用いて電界発光観測を行う予定である。
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[Publications] Akiko Tanaka: "High Field Dissipation Current Waveform of XLPE Film Obtained by New Method"2001 Annual Report Conference on Electrical Insulation on Dielectric Phenomena. 145-148 (2001)
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[Publications] Soli Bamji: "Effect of Frequency on XLPE Cable Insulation at High Electric Field"2001 Annual Report Conference on Electrical Insulation on Dielectric Phenomena. 169-172 (2001)
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[Publications] Akiko Tanaka: "IMPROVEMENTS OF HIGH ACCURACY AC DISSIPATION CURRENT WAVEFORM OBSERVATION SYSTEM"Proceedings of 2001 International Symposium on Electrical Insulating Materials (ISEIM 2001). 423-426 (2001)