2002 Fiscal Year Annual Research Report
Melt-Casting法によるBi系超電導体の特性改善と電流リードの開発
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13650361
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
塚本 武彦 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 助教授 (10217284)
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Keywords | Melt-Casting法 / Bi2212バルク超電導体 / Li添加効果 / 臨界温度 / 臨界電流密度分布 / 交流通電損失 / 輸送特性 / 電流リード |
Research Abstract |
本研究では、まずMelt-Casting法(MCP)で作製したBi2212バルク超電導体に対する他元素の添加効果を調べた。次に、臨界電流密度分布を測定し、その分布が交流通電損失に及ぼす影響を調べ、MCP試料の輸送特性を明らかにした。今年度の研究によって得られた成果は以下の通りである。 1.適量のLi_2O_3を出発原料に加えるとMCP試料の臨界温度が高くなった。添加したLiは熱処理中における超電導相の成長を促進させ、零抵抗温度ばかりでなく、オンセット臨界温度も高くした。800℃でアニールしたMCP試料Bi_2Sr_2CaCu_2Li_<0.2>O_yは91Kで零抵抗を示した。 2.MCP試料の表面は密度(比重)が高く、また、中心部に比べて約半分の抵抗率を示した。表面を削った試料の臨界電流を測定した結果、超電導電流は試料の表面に集中して流れていることがわかった。また、その臨界電流密度は100A/cm^2を超えていた。 3.断面が7.4×7.5mm^2の正方形試料(長さは120mm)では、電流分布が均一と仮定した場合の交流通電損失の計算値(ノリスの理論値)が測定値よりも非常に大きかった。一方、断面が4.5×13.6mm^2で同じ長さの長方形試料では両者の値にほとんど違いはなかった。これらのことから、正方形試料の中心部分ではfield-free-coreと呼ばれる電流が流れず磁場もほとんどない領域が存在することがわかった。実測した臨界電流密度分布を考慮して正方形試料の交流通電損失を再計算した結果、測定値とよく一致した計算値が得られた。したがって、MCP試料では不均一な電流分布が磁束侵入領域を制限し、そのことが交流損失を抑えていることが明らかになった。
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[Publications] 塚本 武彦他: "Melt-Casting法を用いて作製したBi2212バルク超電導体の臨界温度に対するLi添加効果"電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌). 122巻6号. 624-625 (2002)
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[Publications] 塚本 武彦他: "Melt-Casting法で作製したBi-2212矩形バルク材のJc分布が交流通電損失に及ぼす影響"低温工学・超電導学会講演概要集. 第67回. 205 (2002)
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[Publications] 加藤 駿介他: "Melt-Casting法を用いたBi系超伝導体の臨界電流密度分布"豊田工業高等専門学校研究紀要. 第35号. 35-38 (2002)