情報スペクトル理論の新しい展開

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13650401
• Research Institution: The University of Electro-Communications
• Principal Investigator: 韓 太舜 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 教授 (80097287)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 藤原 彰夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30251359) ; 長岡 浩司 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 助教授 (80192235)
• Keywords: 情報スペクトル / 量子情報理論 / 通信路容量 / ユニバーサル符号 / 情報源符号化

Research Abstract

主な研究実績は以下のとおりである。
1.情報スペクトル理論を初めて体系的に論じた著作「情報スペクトル的方法」(韓,培風館,1998)の英訳版がSpringer-Verlag社から出版された。日本語版出版以降に得られた最新の知見も随所に取り入れられている。これによって、情報スペクトル理論の数学的基礎付けと各種の応用手法の整備が進むとともに、今後、同理論が国際的な拡がりの中で発展していく上での基本的な文献としての役割が期待される。
2.有村光晴博士(電通大)との共同研究により、情報源のユニバーサル符号化問題に対して、はじめて情報スペクトル理論的観点からの解析が成された。同理論特有のきわめて一般的な数学的設定のもとで、ユニバーサル符号が存在するための条件や十分統計量との密接な関連などが明らかにされた。
3.林正人博士(理化学研究所)や小川朋宏博士(東大)との共同研究により、量子通信路容量に関する情報スペクトル理論的解析が成された。特に、量子系においても、古典系と同様に通信路符号化問題と仮説検定問題との間に密接な関係があることが明らかにされた。これらの研究によって、量子情報理論における情報スペクトル的方法の有効性が示される一方で、量子系特有のさまざまな数学的困難も浮き彫りになってきている。
4.モデル選択やデータ圧縮など、情報理論に関する種々の研究を行った。
5.量子通信路容量の加法性予想や量子通信路の推定に関する微分幾何学的研究を行った。

Research Products

• [Publications] M.Hoshi, T.S.Han: "Interval algorithm for homophonic coding"IEEE Trans. Inform. Theory. 47・3. 1021-1031 (2001)
• [Publications] O.Uchida, T.S.Han: "The optimal overflow and underflow probabilities of variable-length coding for the general source"IEICE Trans.. E84-A・10. 2457-2465 (2001)
• [Publications] A.Fujiwara: "Estimation of SU(2) operation and dense coding : An information geometric approach"Phys. Rev. A. 65. 012316 (2002)
• [Publications] A.Fujiwara, T.Hashizume: "Additivity of the capacity of depolarizing channels"Phys. Lett. A. 299. 469-475 (2002)
• [Publications] 有村光晴, 長岡浩司: "弱ユニバーサルなFV情報源符号の存在条件について"第25回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. 255-258 (2002)
• [Publications] 林正人, 長岡浩司: "古典-量子通信路容量の一般公式"第25回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. 563-566 (2002)
• [Publications] A.Fujiwara: "Statistical estimation of a quantum channel"Proc. 7^<th> Int. Symp. Found. Quant. Mech. (eds. A.Ono, K.Fujikawa). 40-43 (2002)
• [Publications] 大澤賢悟, 韓太舜: "マルコフ情報源の次数推定方式:MGZ法をめぐって"第25回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. 451-454 (2002)
• [Publications] 福場敏晴, 有村光晴, 長岡浩司: "マルコフMTF変換とブロックソート法に関する考察"第25回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. 151-154 (2002)
• [Publications] 大津郁子, 韓太舜: "Merhav法による指数型分布族の次数推定について"第24回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. 127-130 (2001)
• [Publications] M.Hayashi, H.Nagaoka: "A general formula for the classical capacity of a general quantum channel"Proc. 2002 IEEE Int. Symp. Inform. Theory. 71 (2002)
• [Publications] T.Ogawa, H.Nagaoka: "A new proof of the channel coding theorem via hypothesis testing in quantum information theory"Proc. 2002 IEEE Int. Symp. Inform. Theory. 73 (2002)
• [Publications] T.S.Han: "Information-Spectrum Methods in Information Theory"Springer-Verlag. 540 (2003)