2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650401
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
韓 太舜 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 教授 (80097287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 彰夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30251359)
長岡 浩司 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 助教授 (80192235)
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Keywords | 情報スペクトル / 量子情報理論 / 通信路容量 / ユニバーサル符号 / 情報源符号化 |
Research Abstract |
今年度の研究実績は以下の通りである。 1.任意の情報源から発生したデータを最適なレートで無歪み圧縮した場合、その出力系列は漸近的にほぼ「完全にランダム」になるという原理は、情報理論の歴史において早くから認識され、一種の伝承(folklore)として今日の研究者に受け継がれている。確かに、情報理論で通常仮定される情報源に関する定常エルゴード性のもとでは、この原理は常に成り立っているように見える。しかし、こうした原理的・概念的問題を厳密なやり方で論じるためには、定常エルゴード性などの仮定を外した完全に一般的な状況において「原理」そのものを数学的に明確な形で表現し、その成立条件を探る必要がある。我々は、情報スペクトル理論の枠組みを用いてこれを実行し、「伝承」が成立するための必要十分条件を与えた。 2.昨年度に引き続き、ユニバーサルデータ圧縮の一般原理を情報スペクトル理論の観点から明らかにすべく、有村光晴博士と共同研究を行った。これまでの研究によって、ユニバーサルデータ圧縮と漸近十分統計量との深いっながりが明らかにされ、それによって、いたるところ正の確率を持つような有限次数の定常マルコフ情報源全体に関する種々の符号化のユニバーサル性を統一的に理解することが可能になった。しかし、この結果をより広いクラスである定常エルゴード情報源全体に拡げようとすると、いくつかの数学的困難に直面する。我々は、ユニバーサル性や十分性を個別データに関する非確率論的な概念として定式化し直し、それによって、定常エルゴード情報源全体にまで適用可能な形に理論を拡張した。 3.量子通信路容量の一般公式に関する林正人博士との共同研究の成果が論文として出版された。昨年度までに得られた主要結果に加えて、量子仮説検定に関する新たな知見なども含めた。量子情報理論における情報スペクトル的方法の意義と位置づけが徐々に明らかになってきたと言える。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.S.Han: "A Folklore in Information Theory"Proc.3rd Asian-European Workshop on Information Theory. 61-63 (2003)
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[Publications] T.S.Han: "Information-Spectrum Approach to a Folklore in Information Theory"第1回シャノン理論ワークショップ (STW03)予稿集. 1-6 (2003)
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[Publications] 韓 太舜: "情報スペクトル:あれこれ"電子情報通信学会技術研究報告. IT2003-54, 103・498. 31-39 (2003)
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[Publications] M.Hayashi, H.Nagaoka: "General Formulas for Capacity of Classical-Quantum Channels"IEEE Transactions on Information Theory. 49・7. 1753-1768 (2003)
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[Publications] 有村光晴, 長岡浩司: "FV情報源符号の個別弱ユニバーサル性と個別漸近十分統計量"第1回シャノン理論ワークショップ (STW03)予稿集. 21-28 (2003)