2002 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児音声の意味情報解析とその自動認識システムの構築に関する研究
Project/Area Number |
13650430
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Research Institution | MEIJI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
荒川 薫 明治大学, 理工学部, 教授 (30183734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 節子 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (50144358)
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Keywords | 乳幼児啼泣 / 音声解析 / 乳幼児 / 泣き声 / 育児 / 状態推定 / 非線形ディジタルフィルタ / 雑音除去 |
Research Abstract |
本研究では、乳幼児の泣き声を定量的に解析することにより、乳幼児の状況を自動的に識別するシステムの開発を行った。昨年度は、高月齢児(生後5ヶ月〜12ヶ月)の乳幼児を対象としたが、今回は低月齢児(生後2ヶ月〜4ヶ月)を対象とし、昨年と同様、空腹時と眠いときの泣き声をある程度精度よく識別できることを明らかにした。また、注射の際の疼痛時における泣き声に対しても自動識別が可能であることを示した。 まず、低月齢児泣き声の空腹・眠気の識別システムでは、高月齢児の場合と同様、音声信号の周波数成分の分布に関するルールにより、両者の識別を行う。ただ、低月齢時の泣き声は、高月齢時のものより全般的に高い周波数帯まで顕著な成分が現れる。それでも高月齢児の場合と同様、空腹時には眠い時よりやや高い箇所まで顕著な成分が現れるという傾向が得られたので、それに基づきルールを構築し、低月齢児の空腹および眠い時の泣き声を約8割の精度で正しく識別できることを示した。また、高月齢児と低月齢児の泣き声の周波数分布が異なることを明らかにし、本システムのパラメータを月齢に伴い変化させる必要があることを示した。 次に、注射の時の乳幼児の泣き声を入手し、この周波数解析を行った。この周波数スペクトルの包絡線の形状が、空腹時や眠い時のものと異なり、突起部がほとんど一つしか存在しないという特徴的な性質が見られることを明らかにした。ただ、ここで扱ったデータ数があまり多くないので、断定的なことは言えないが、注射の痛みのような非常時における泣き声についても自動識別ができる可能性があることを示した。 さらに、音声の解析の際に問題となる外部雑音の除去を目的とした新しい非線形ディジタルフィルタを提案し、実際の音声に対して有効性を示すとともに、画像の雑音除去にも効果的であることを示した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 荒川 薫: "ハードウェアでの実装に適した非線形ディジタルフィルタ"システム制御情報学会誌. 47・1. 44-49 (2003)
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[Publications] T.Okada: "Nonlinear Filter Bank Using ε-Filters and Its Application to Face Image Processing"Proc. IEEE ISPACS 2002. B3-2 (2002)
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[Publications] S.Aihara: "Motion Compensated ε-filter for Improving Image Quality of Video"Proc. IEEE ISPACS 2002. B1-5 (2002)
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[Publications] K.Arakawa: "A Component-Separating Nonlinear Digital Filter with Optimization"Proc. SCIS & ISIS 2002. 24P5-4 (2002)
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[Publications] 荒川 薫: "成分分離型ε-フィルタを用いた音声の雑音低減法"電子情報通信学会論文誌. J85-A・10. 1059-1069 (2002)