2002 Fiscal Year Annual Research Report
開放型市場モデルを用いた分散的意思決定システムの研究
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13650450
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Research Institution | National Institution for Academic Degrees and University Evaluation (Daigaku-hyoka Gakui-juyo Kiko) |
Principal Investigator |
喜多 一 大学評価・学位授与機, 構・評価研究部, 教授 (20195241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 和光 大学評価・学位授与機, 構・学位審査研究部, 助教授 (20282866)
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Keywords | 分散的意思決定 / 市場指向プログラミング / 通信帯域幅割り当て |
Research Abstract |
本研究では高速大規模な分散的意思決定の手法として,ソフトウェアエージェント間での資源割当てに市場原理を取り入れた「市場指向モデル」に注目し,通信ネットワークにおける帯域割当てを例にその構成方法と有効性を検討した.平成13年度には市場指向モデルの基本的な定式化を行った.そこでは,通信の要求として,時間的拘束が強い一方で,必要帯域幅が弾力的な帯域幅要求型の通信需要と,一定期間内に一定量の情報伝送を求めるが,その範囲内では通信の時間を選択できる転送量要求型の通信需要を想定した.そして,これらの需要に効果的に通信帯域幅を割り当てるために,一定の将来までの時間帯ごとの通信量を先渡商品として取引する市場モデルを構成した.このような先渡市場の構成により,将来に取引されるサービスが顕在化し,それらの代替などのエージェントによる自動調整が可能になる. 本年度にはこの定式化を踏まえ,計算機実験のためのプログラムへの実装と計算機シミュレーションによるモデルの評価を行った.特に市場指向モデルの中核となる競売機構として,従来,市場指向モデルで用いられてきた単一財のワルラス型の価格調整モデル,ならびに経済学の応用一般均衡分析での手法である複数財についての不動点探索型アルゴリズム,および実際の証券市場で用いられている一定期間注文を蓄積し,最大の需給を実現する価格を決定する,「板寄せ」方式を実装し,計算機シミュレーションにより比較検討した.その結果,前2者は均衡価格の探索精度は高いが,計算コストが相当大きいこと,これに対して後者は処理が高速で常時決済可能である実用性を有する一方で,価格の精密性やエージェント間の公平性では劣ることが明らかになった. このほか,比較的少数のエージェント間に市場指向モデルを導入した場合のエージェント間の相互作用の問題についての基礎的な検討を寡占市場と機械学習を組合せたモデルにより行った.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 石西正幸, 生天目章, 喜多一: "市場指向プログラミングにおけるエージェントの適応と学習"電気学会論文誌. C-123・4(掲載予定). (2003)
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[Publications] M.Ishinishi, H.Deguchi, H.Kita: "Study on a Dynamic Resource Allocation for Communication Network Based on a Market-based Model"2nd Int. Workshop on Agent-based Approaches in Economic and Social Complex Systems. (掲載予定). (2003)
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[Publications] 石西正幸, 出口弘, 喜多一: "通信資源配分のための先渡市場モデルの提案"計測自動制御学会第26回システム工学部会研究会資料. 47-54 (2002)
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[Publications] 石西正幸, 出口弘, 喜多一: "市場指向モデルによる通信資源配分シミュレーション"計測自動制御学会第15回自律分散システム・シンポジウム資料. 103-108 (2003)
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[Publications] 石西正幸, 出口弘, 喜多一: "市場指向モデルにおける取引制度の検討"電子情報通信学会技術研究報告. 102・614. 23-28 (2003)
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[Publications] 石西正幸, 小山友介, 出口弘, 喜多一: "通信資源配分のための先渡市場モデルの提案(2)"計測自動制御学会第28回システム工学部会研究会資料. 41-46 (2003)