2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650451
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
湊 淳 茨城大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00209826)
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Keywords | 地球温暖化 / レーザ計測 / 人工衛星 / カオス / 半導体レーザ |
Research Abstract |
研究代表者らは,前年度までの研究において,カオス的な信号で変調されたレーザ光を用いることにより,レーザ距離計測が可能であることを,数値実験および光ファイバによる室内実験により検証してきた。 本方法は,抵抗,コイル,可変容量ダイオードからなる直列回路に交流電圧を加え,ダイオードの端子間のカオス的な電圧の変動を利用している。この方法では,簡単にかつ安定してカオス変調されたレーザ光を得ることができる。レーザを用いた距離計測手法には,パルスレーザ光の往復時間を測定する方法と,周期的に変調したレーザ光を用いる方法がある。通常の半導体レーザを用いた距離計測では,レーザを周期的に変調して,送受信を行っている。この場合には,送信信号と受信信号の位相差の情報しか得られないので,複数の変調を要する。これに対して本手法では,カオス信号の自己相関がデルタ関数に近い性質を利用して,送信信号と受信信号の相関関数のピーク位置を求めているので,1種類の変調のみで距離計測が可能である。 本年度は,実用化を目指して室内の大気中光路において,距離計測の実験を行った。この結果,距離計測において10cmの精度が得られた。この値は,実験に用いた検出器の周波数帯域やAD変換の時間分解能の限界に近い精度である。信号処理系の時間分解能を向上させれば,本手法による距離の精度はさらに向上するものと考えられる。 また,測定精度への雑音の寄与についても検討を行った。距離の精度に対する雑音の影響を評価した結果,パルスの強度と同程度の雑音が存在する場合でも,距離の精度にあまり影響がないことが分かった。このことは,本手法が雑音の影響が無視できない野外計測において有効であることを示している。
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