濃淡包絡面の推定にもとづく医用X線画像の画質改善に関する研究

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13650463
• Research Institution: 九州芸術工科大学
• Principal Investigator: 福島 重廣 九州芸術工科大学, 芸術工学研究科, 教授 (60027927)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 吉永 幸靖 九州芸術工科大学, 芸術工学研究科, 助手 (60304854)
• Keywords: トレンド推定 / シェーディング / 背景変動 / X線透過吸収補正 / 力学モデル / 補間 / 画像診断支援

Research Abstract

医用X線画像にはX線透過吸収量の積分値が投影されている.そして,CTアルゴリズムによれば,その濃淡情報から対象臓器の奥行きや物理的特性を定量的に測ることができる.一方,重畳臓器の濃淡構造があまり複雑でない場合には,CTアルゴリズムによらずともX線画像から臓器構造を理解することが可能と考えられる.本研究はこのような作業を機械的に実現するための一課題として,背景の濃淡変動成分(トレンド,シェーディング)の推定・除去の手法を開発することを目的としている.トレンド推定の手法としては従来から局所平均や準同形フィルタが知られているが,本研究ではそうした一般的手法ではなく,画像生成の物理であるX線の透過重畳性に着目し,画像中でX線吸収が極小である画素の濃淡値を補間する濃淡包絡面をもって背景変動分の推定とする基本概念を構築していくことを構想している.こうした作業は人間の視覚では自然に行われていると考えられるが,機械化を可能とすることによって,臓器構造と濃淡情報との対応付けがより明確となり,がん病巣などの病変部の検出と計量,ひいては画像診断支援・自動化にも有用であることが期待される.そのための作業として,X線吸収極小点の抽出,濃淡分布の補間,評価,および,応用による有用性の実証等の諸課題について研究していく必要がある。本年度は,X線吸収極小点の抽出のために,微細な濃淡変動の影響を受けにくい,ある力学的モデルを構築した.濃淡分布を補間するためには,平面の三角分割による方法を検討した.今後さらに評価・応用等の実験を進めていくために作業環境の充実を図る必要があり,そのためにコンピュータと数値計算ソフトウェアを導入し,現在整備を進めているところである.